第93回選抜高校野球 智弁学園、強気攻勢実る ライバル破り、拍手 /奈良
<センバツ2021> 第93回選抜高校野球大会第4日の23日、1回戦に登場した智弁学園はライバル・大阪桐蔭(大阪)との打撃戦を8―6で制した。昨秋の近畿地区大会決勝で熱戦を演じた相手に終始強気の投打で迫り、振り切った。スタンドからは「やった」「おめでとう」と勝利をたたえる拍手が沸いた。2回戦は、第8日第1試合(27日午前9時開始予定)で広島新庄(広島)と対戦する。【林みづき】 試合は、一回から動いた。智弁学園は一回裏、先頭打者、岡島光星選手(3年)の安打から好機をつかみ、四死球や犠飛で先制。「チャンスがまわってくると思った」と準備万全で打席に入った植垣洸捕手(3年)が適時二塁打を放ち、一気に3点を奪って主導権を握った。 その後は追加点が出なかったが、先発したエースの左腕、西村王雅投手(3年)は五回表まで無失点と好調な立ち上がり。昨秋は大阪桐蔭から「一つも三振を取れなかった」と悔しがったが、五回までに被安打1、3奪三振と強力打線を抑えつけた。 劣勢だった大阪桐蔭も粘りを見せ、六回以降は点の奪い合いに。2点を返され迎えた六回裏、「取られた点は取り返す」と森田空選手(3年)が無死一、二塁の場面で適時中前打を放ち、敵失も突いて3点を加えた。「食らいつくという思いは誰よりも強かった」と話し、貴重な追加点にスタンドでは赤いメガホンが大きく揺れた。父貴司さん(50)は大舞台での初安打に「良かった」と頰を緩ませた。 七回にも1点ずつ取り合い、迎えた八回表。適時三塁打で2点を奪われ、またも緊迫した展開に。流れを変えようと、選手らがマウンドに集まると、西村投手は冷静さと笑顔を取り戻し、最大のピンチをしのいだ。 2点差で迎えた九回は、右腕の小畠一心投手(3年)が登板。2死、4番打者に三塁打を許したものの次の打者を空振り三振に仕留めると、大きくガッツポーズ。母久美さん(47)は「みんなで『打倒桐蔭』を掲げて頑張ってきたので本当にうれしい」と涙をにじませた。ナインそれぞれが自分自身と闘った冬を乗り越えてつかんだ大きな1勝となった。 ◇エールに「キレ」 ○…スタンド最前列では、有志の男子生徒23人の応援団がキレのある動きで応援をリード。団長の3年、藤本重光さん(17)は、4歳上の姉も同校が優勝した2016年センバツでチアリーダーを務めた。当時小学生だった藤本さんはその姿に憧れ、将来の応援団入りを決めたという。入学以来、甲子園出場の際には応援団に参加し、今回は団長に。「声を出せない分、キレを上げることを意識した。選手たちと一緒に最後まで全力でやり切りたい」 ◇憧れの地で演技 ○…一塁側スタンドでは、31人のチアリーダーが黄色のポンポンを掲げ、息の合った演技を見せた。リーダーの3年、一柳(いちりゅう)帆乃果さん(17)は「憧れの甲子園で応援できてうれしい」と笑顔。新型コロナの影響で練習期間は例年の半分に、1日の練習時間も限られたといい、「短時間で演技だけでなく、礼儀や感謝の気持ちを伝えるのに苦労した」。やっと実現した甲子園での演技に「みんなのエネルギーを感じる応援ができた」と満足げだった。【林田奈々】 ……………………………………………………………………………………………………… 大阪桐蔭 000002130=6 40000310×=8 智弁学園