<あなたの“ギモン”直撃リサーチ>採用代行が急拡大 さらに“お祈りメール”で内定も?【WBS】
採用に関する業務を企業の代わりに行う「採用代行サービス」が世界で成長しています。2021年には市場規模が日本円でおよそ7100億円でしたが、そのあとの10年で市場は5倍以上にまで拡大する見通しです。なぜなのでしょうか。 東京・渋谷区にあるソフトウェアの開発などを手がける「クラステクノロジー」。去年の春に入社した知念賢将さん。システム開発の部署に所属しています。 「先輩方がいつもそばにいてくれて、質問しやすい」(知念さん) 知念さんの採用を担当したクラステクノロジー人事総務部の今井健太郎部長は「コミュニケーションがとれる人間が欲しいという大前提がある。それに沿って人材をとれて“当たり”だと思う」と話します。 長期間にわたる採用活動で最適な人材を見つけたのかと思いきや、今井さんは「採用に関する事項は私たちはほとんどやっていない」と話します。一体どういうことなのでしょうか。 人事の内部資料には採用の流れや手法を含む戦略が書かれていました。実はこれ、戦略作りから面接までを企業の代わりに行う採用代行業者が作ったものです。 この採用代行サービスを提供する「アールナイン」では200社以上にサービスを提供しています。 国内の採用代行の市場は右肩上がりで、2022年度には700億円以上に拡大する見込みです。なぜ企業は採用代行の利用に積極的なのでしょう。 アールナインの長井亮社長は「ノウハウがないとわからないので、われわれが『この求人にはこの手段』とアドバイスする」と話します。 従来の新卒一括だけでなく、ネットやSNSでの求人、直接の求人オファー、紹介を使うリファラル採用など、採用手法が多様化しているため、プロの代行業者が持っている幅広い採用業務のノウハウが重要になってきているのです。 さらにもう一つ理由があります。 「第三者がやることにメリットがある。自社でやってしまうと『誰々との相性はどうだ』など、本来採用基準とは関係のないポイントで採用したくなってしまう」(長井社長)