<あなたの“ギモン”直撃リサーチ>採用代行が急拡大 さらに“お祈りメール”で内定も?【WBS】
不採用通知で内定?
形を変えた採用代行サービスも生まれています。今年春の就職に向けた内定が最近決まった堂本一樹さん。あるメールを見せてくれました。 「今後のご活躍とご発展を心よりお祈り申し上げます」 不採用通知、いわゆるお祈りメールです。しかし堂本さんは「今までたくさん苦しめられてきた、このお祈りメールから内定をいただくことができた」と話します。どんな方法を使ったのでしょうか? 堂本さんが使ったのが2020年から始まった「ABABA」というサービス。このサービスでは、お祈りメールが推薦状の代わりになります。 企業側は最終面接で不採用にした学生にABABAへの登録を促します。登録すると企業の最終面接まで通過したことを証明。一方、学生は他の企業の選考状況などを登録します。こうした最終選考まで進んだ学生の情報から、別の企業が学生をスカウトできる仕組みです。いわば、最終面接までを他の企業に代行させている形なのです。 大手飲食チェーン「串カツ田中」も来年入社する学生の採用からABABAを利用する予定です。背景にあるのが人材獲得競争の激化。時間をかけて内定を出した後、辞退する学生が増えているのです。 ABABAの仕組みなら急な内定辞退があっても、短期間で優秀な学生が見つかると見込んでいるそうです。 「元々興味がない学生に対しても当社を知ってもらうチャンスは増える」(「串カツ田中HD」人事部の福田啓佑さん) 既にABABAを活用している「TWOSTONE&Sons」では、最新の新卒入社の2割がABABA経由の採用になりました。 「(他社が)最終面接まであげて選考が進んでるということは、なにか輝くものは絶対にあるんだろうなと思っている」(「TWOSTONE&Sons」新卒採用担当の野澤玲さん) ABABAは1月、東京都が後援するスタートアップのイベント「東京ベンチャー企業選手権大会」で最優秀賞を受賞。NTTドコモや鹿島建設など大手も含む1100社以上が利用しています。 ABABAの久保駿貴CEOは、採用制度の無駄をなくすメリットが期待されていると強調します。 「落ちた人にも目を向ける採用をすることで、もっと日本の採用自体が活性化する。日本経済、日本社会もよくなる」(久保CEO) ※ワールドビジネスサテライト