認知度いまいち「反感」も マタニティマークの妊婦にとっての意味は?
妊産婦にやさしい環境づくりを推進するためにはじまった「マタニティマーク」ですが、その趣旨とは裏腹に、「反感を持たれそう」「身の危険を感じる」などのネガティブな理由で所持しない動きもあります。マークは9年前に導入されましたが、認知度もいまいち。マタニティマークは妊産婦にとってどういう意味を持つのでしょうか。
外見だけでは分からない妊娠初期
「いま、妊娠5か月ですが、マタニティマークはつけていません。独身時代に電車に座っていたらマタニティマークをつけた女性が、座るのが当たり前みたいな態度でイスに突っ込んできて、腕を痛めたことがありました。それでいいイメージを持てなくて、つけなくてもいいかなと思ったんです」(32歳) 朝日新聞の10月17日付け朝刊で、「マタニティーマーク10年、世間の反感に自粛する妊婦も」という記事が発表されました。マタニティマークは、ほとんどの自治体で妊娠届を出す際に手渡されますが、冒頭のようにそれを所持しない妊産婦もいるようです。 ヘルスケア関連のウェブサービスを運営するプラスアールが行った「マタニティマークに関する調査2014」によると、マタニティマークを外すときがあるという問いに対して、33.1%が「ある」と答えたのです。 マタニティマークは2006年3月に厚生労働省が定めました。交通機関だけではなく、職場、飲食店などの場で、妊婦にやさしい環境づくりを推進する目的です。 「妊娠初期(妊娠4週~15週)は、赤ちゃんの成長はもちろん、お母さんの健康を維持するためにもとても大切な時期です。しかし、外見からは見分けがつかないため、『電車で席に座れない』、『たばこの煙が気になる』など妊婦さんにはさまざまな苦労があります。妊産婦さんの中には、急に体調が悪くなる方もいます。そのような方が、体調が急に悪くなって倒れてしまったとき、ほかにも災害が発生したときに、妊産婦であることを知ってもらう必要があります。そうして妊産婦さんにやさしい環境をつくっていこうというものです」(厚生労働省雇用均等・児童家庭局 母子保健課) 認知度も53.6%(知っていた45.6%、言葉だけは知っていた8.0%)にとどまっています(平成26年度「母子保健に関する世論調査」内閣府)。さらに男性の認知度は41.4%(31.2%、10.2%)、女性は63.8%(57.6%、6.2%)と男女で大きな差があることもわかりました。 厚労省のほか、全国の自治体や鉄道事業者などが妊婦にキーホルダーなどのグッズ類の配布やポスターでの告知といった普及活動を行ってきましたが、浸透がいま一歩という感が否めません。