国内最大規模の音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』60以上の表彰部門・投票方法など発表 Spotifyでの一般投票部門創設も
2025年5月に行われる国内最大規模の音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』(MAJ)に創設予定の「60以上の表彰部門の詳細・投票方法」「5,000人以上の投票メンバーの選定・投票方法」が発表された。 【画像】『MUSIC AWARDS JAPAN』部門一覧や投票の流れ これに伴い12月17日に第2回メディア説明会が開催され、『MAJ』実行委員会委員長の野村達矢氏(日本音楽制作者連盟理事長)、副委員長の稲葉豊氏(日本音楽出版社協会会長)が登壇した。 『MAJ』とは、音楽業界の主要5団体(日本レコード協会、日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、日本音楽出版社協会、コンサートプロモーターズ協会)が設立した一般社団法人 カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA)により新設された国際音楽賞。「透明性:透明性のある選考プロセス 投票・選考」「グローバル:国内に留まらずアジアの多様な音楽に注目」「賞賛:国内外の実績を讃え合う」「創造:表彰だけでなくここから未来を創造する」といった“4つの約束”をミッション/ステートメントとして掲げ、世界の音楽産業と団結し、持続可能な音楽産業を築いていくことを目的に立ち上げられた。今回発表された「表彰部門」「投票メンバー/方法」などには、そのような『MAJ』の理念が反映されている。 <対象作品/アーティストについて> 集計期間:2024年2月5日~2025年1月26日(リリース時期は不問/旧譜も対象 ※一部部門除く) 上記期間のうちアワードオリジナルチャートを2カ月1ピリオドとして、各ピリオドにてチャートインした楽曲/アーティストをエントリー対象とする。細かい期間で区切ることで少しでも多くの楽曲/アーティストを対象にできるよう公平性に配慮した仕組みが採用された。期間についてはリリース日ではなく、チャートインが基軸となっている。投票は一次、最終の2回に分けて行われ、一次のエントリー数は300~400程度を想定しているという。 <表彰部門> 【主要6部門】 ・最優秀楽曲賞(Song of the Year) 音楽的に創造性、芸術性が優れていると思う楽曲を讃える賞 ・最優秀アルバム賞(Album of the Year) 音楽的に創造性、芸術性が優れていると思うアルバムを讃える賞 ・最優秀アーティスト賞(Artist of the Year) 音楽的に創造性、芸術性が優れていると思うアーティストを讃える賞 ・最優秀ニュー・アーティスト賞(New Artist of the Year) 音楽的に創造性、芸術性が優れていると思うニュー・アーティストを讃える賞 ・Top Global Hit From Japan 世界でヒットした国内楽曲を讃える賞 ・最優秀アジア楽曲賞(Best Song Asia) アジアでヒットしたアジア楽曲を讃える賞 “国際音楽賞”らしい海外に関連した賞を含む上記の主要6部門をはじめ、60以上の部門が創設。楽曲カテゴリーの23部門、海外楽曲カテゴリーの7部門、アルバムカテゴリーの5部門、アーティストカテゴリーの12部門、アライアンスカテゴリーの3部門の詳細が決定した。 楽曲カテゴリーでは、J-Pop、ロック、ヒップホップ、アイドルカルチャー、アニメなどの音楽ジャンル別部門、リバイバル、ボーカロイド・カルチャー、ミュージックビデオなどのスペシャル部門が設けられている。 音楽ジャンル別部門の楽曲のジャンル分けについては、ビルボードジャパン、オリコン、YouTube、GfK/NIQ Japan、Music Story、およびDSP各社の楽曲メタデータを元に『MAJ』基本設計委員にて最終決定が行われる。さまざまな音楽性が混交する昨今の楽曲をジャンル分けすることは容易ではない。ロックのようないわゆる音楽ジャンルからアイドルのようなカルチャーまでが設定された本部門では、1つの楽曲が複数のジャンルにまたがることが前提となっているとのこと。J-Popについては国内楽曲が広く対象となる予定だ。 アルバムカテゴリーでは最優秀アルバムだけでなく、ジャズアルバム、クラシックアルバム、劇伴・OSTアルバム、ゲームサウンドトラックと音楽カルチャーを彩るジャンルのアルバムの表彰が行われる。アーティストカテゴリーでは、日本の音楽業界に長きにわたり貢献し、活躍してきたアーティストを讃える「MAJ Timeless Echo」も創設。また、ライブパフォーマンスやテクノロジー分野に関する賞も検討中とのこと。 <一般投票部門> ・リスナーズチョイス:ベスト・グローバルソング・オブ・ザ・イヤー powered by Spotify 世界でヒットした国内楽曲の中から、Spotifyの国内外ユーザーが一般投票を行い「ベスト・グローバルソング」を決定する賞 ・リスナーズチョイス:ベスト・ソング ・オブ・ザ・イヤー powered by Spotify Spotifyの国内外ユーザーが一般投票を行い「ベストソング」を決定する賞 本賞の投票メンバーは音楽業界関係者が中心であるが、一般ユーザーも参加可能な部門としてSpotifyの投票機能を活用した2つの賞「リスナーズチョイス:ベスト・グローバルソング・オブ・ザイヤー」「リスナーズチョイス:ベスト・ソング・オブ・ザイヤー」の創設も決定した。エントリー作品の中から、Spotifyの投票機能を通じてノミネート作品30作品、最優秀作品1作品を決定するという。 <受賞対象者およびその他部門の選定方法> アーティストカテゴリー以外の部門では、受賞対象者はアーティストだけではなく、作詞/作曲/編曲などに携わるクリエイター・プロデューサー・レコーディングエンジニア・ミキシングエンジニア・マスタリングエンジニア・プレイヤー・ディレクター・マネージャー・A&Rも対象となる。アーティスト以外にも音楽に携わるすべての人を称える賞を目指していくという『MAJ』の理念がここにも反映される形となった。また、主要6部門は先述のとおりアワードオリジナルチャートへのランクインが選定条件となっているが、それ以外の部門については、個別に設定したエントリー作品選定方法を採用。最優秀楽曲賞にエントリーしていない作品からも、エントリー作品を選出する予定とのこと。 <投票メンバー> 投票メンバーには、アーティスト、クリエイター、マネージャー、レコード会社スタッフ、エンジニア、MVディレクター、コンサートプロモーター、音楽出版社、著作権管理団体・事業者、音楽配信事業者、ディーラー、ディストリビューター、音楽評論家、ライター、メディア、 海外音楽賞審査員、海外クリエイター、海外プロモーター、海外音楽配信事業者など、各分野より構成される5,000名以上の音楽業界のプロフェッショナルを選出。エントリー作品に関わるアーティストやクリエイターで半数以上の割合を占める予定だ。また、長年音楽業界に貢献したレジェンドアーティストの“永久ボートメンバー”への選出も検討中とのこと。 プロの目線で選んだ国内外の素晴らしい楽曲/アーティストを世界に発信することを目指して新設された『MAJ』。投票に参加する業界関係者、一般ユーザーなど多くの人に支持されるアワードにするためにも「公平性」「透明性」は欠かせない要素であると野村氏、稲葉氏は語る。この日の説明会は1時間半に及び、「VOTING RULE BOOK」と書かれた30ページ程度の資料には、ここでは紹介しきれない詳細なルールが記されている。初回はCEIPAを構成する5団体が1社上限16票の投票権(30名につき1票計算)を所持することや、自身や自社の楽曲に投票することができるため、1名につき最低2票から最大5票までの投票することで公平性を保つといったルールの説明も行われた。投票は専用のシステムを活用してオンラインにて行われるため、投票メンバー選出者へのアナウンスや期間内の投票がスムーズに行われるかが今後の鍵となりそうだ。 なお、本アワードの授賞式は『MUSIC AWARDS JAPAN 2025 KYOTO』として、2025年5月21日・22日ロームシアター京都にて開催。メインの表彰は22日に行われる予定となり、地上波放送局での生放送、YouTubeでの全世界配信も予定されている。また、5月17日から5月23日までの期間は「MAJウィーク」としてさまざまな催しが行われるとのこと。
久蔵千恵