青森山田と昌平が激突 市立船橋は初出場組の名古屋との顔合わせ!A・Bブロック準々決勝展望
真冬のビックトーナメントは前半戦が終わり、1月4日には国立の舞台を目指して準々決勝が行われる。U-18高円宮杯プレミアリーグWESTの静岡学園が2回戦で広島国際学院にPK戦で敗れる波乱があったものの、概ね順当に有力校が勝ち上がってきた。 【フォトギャラリー】市立船橋 vs 星稜 柏の葉の第1試合では名古屋(愛知)と市立船橋(千葉)が対戦する。今大会のダークホースとして快進撃を見せている名古屋は県勢として7年ぶりに初戦を突破すると、初出場ながら準々決勝に勝ち上がってきた。昨年11月のU-17ワールドカップで4ゴールを挙げたFW高岡伶颯(2年)を擁する日章学園との1回戦ではリードを許しながら1点を取り返し、最後はPK戦で勝利。続く北海(北海道)との2回戦では3-0の快勝を収めると、3回戦では前回王者の岡山学芸館(岡山)を撃破。1-0で迎えた後半40分に同点弾を決められ、PK戦でも5人目の田中響貴(3年)が外してしまう。先制点を決めたキャプテンの失敗に暗雲が立ち込めたが、今大会何度もピンチを救ってきたGK小林航大(3年)がその後のキックを阻止。決められれば敗退というシュチュエーションを跳ね返すと、小林が7人目のシュートを阻止して凱歌を挙げた。文武両道を貫くチームはGK小林を中心に粘り強く戦っており、その守備はまさに鉄壁。カウンターも鋭さを増し、夢の国立は手の届くところにある。 快進撃を続けている進学校の前に立ちはだかるのは、5回の優勝を誇る伝統校・市立船橋だ。伝統の堅守を武器に春先から前評判が高かったチームは今大会も粘り強い守備と、今大会屈指のストライカー・FW郡司璃来(3年/清水入団内定)を中心とする攻撃力を生かして順当に勝ち上がってきた。高川学園(山口)との初戦では郡司が爆発。いきなりハットトリックを達成するなど、4-1の快勝で2回戦に駒を進めた。続く帝京長岡との一戦は接戦となり、来季からU-18高円宮杯プレミアリーグに参戦する強豪校に対して1点を先行したものの、終盤に同点に追い付かれて勝負の行方はPK戦に。敗戦の危機に瀕したが、新たなヒーローが現れる。2年生GKのギマラエス・ニコラスだ。フィリピンの世代別代表歴を持つ守護神が2つのPKを止めて勝利に貢献した。3回戦では本来の姿を取り戻し、星稜(石川)を4-1で撃破。ボランチの主将・太田隼剛(3年)を中心に手堅く試合を運んで12年ぶりの日本一まであと2勝とした。 順当に行けば、実力は市立船橋が一枚上手。しかし、名古屋は一戦ごとに自信を深めており、簡単には崩れない。新鋭と伝統校の大一番から目が離せない。 浦和駒場スタジアムの第2試合で激突するのは昌平(埼玉)と青森山田(青森山田)の両雄だ。互いにU-18高円宮杯プレミアリーグEASTに籍を置き、優勝候補の一角に挙げられている。今季のリーグ戦では青森山田が1勝1分としているが、実力は伯仲。どちらが勝っても不思議ではなく、準々決勝の4カードで最も注目を集めるのは間違いないだろう。 2回戦から登場した青森山田は初陣で飯塚(福岡)に苦戦を強いられ、0-1で迎えた後半34分にエースストライカーのFW米谷壮史(3年)がネットを揺らして試合を振り出しに戻した。最後はPK戦で難敵を振り切った。薄氷を履む展開となったが、その苦戦がチームを蘇らせる。2回戦で静岡学園(静岡)をPK戦で下した広島国際学院(広島)に対し、強度の高いプレーで圧倒。前半こそ米谷の1点に留まったが、後半に6ゴールを挙げて7-0で快勝した。ゴールを隠す守備はもちろん、サイドアタックやセットプレーを駆使した攻撃は破壊力抜群。エースストライカーの米谷も今大会4ゴールを挙げており、好調を維持している。粘り強い守備とチャンスを確実に仕留める力は手強いだろう。 一方の昌平は3度の準々決勝で初の4強入りを目指す。10月から指揮をとる村松明人監督の下、アイデアに富んだテクニカルなサッカーをベースに最激戦区を勝ち抜いてきた。奈良育英(奈良)との初戦を7-0で勝ち抜けたが、以降は苦しい戦いを強いられた。2回戦ではU-18高円宮杯プレミアリーグEAST勢の米子北(鳥取)と対戦。後半の立ち上がりに1点を先行されると、その後はボールを支配しながら決め切れない展開が続く。残された時間はアディショナルタイムのみ。誰もが敗戦を覚悟したが、ラストプレーで途中出場の1年生アタッカー・長璃喜が同点弾をゲット。これで息を吹き返すと、PK戦を制して16強に名乗りを挙げた。3回戦もU-18高円宮杯プレミアリーグEASTに籍を置く大津(熊本)に苦戦を余儀なくされる。10番のMF長準喜(3年)を軸に攻勢を仕掛けたが、2度のリードを許す展開に。それでも1-2で迎えた78分に長璃がまたしても同点ゴールを奪い、PK戦では2年生GK・佐々木智太郎の活躍で勝利を手繰り寄せた。攻撃力はもちろん、今大会は今までにない勝負強さがある。守備面も安定感を増しており、ボールを奪われても即時奪回を貫けるのは今のチームの強み。2020年大会では準々決勝で青森山田に敗れているが、攻守が一体となった戦いでライバルの牙城を崩せるか注目だ。 (文・写真=松尾祐希)