寺島進が血の通った演技で魅せる!愛される刑事役を熱演した「再捜査刑事・片岡悠介」
親近感の沸く血の通った演技が印象的で、さまざまな映画やドラマで唯一無二の存在感を放ち続けている俳優・寺島進。近年は「駐在刑事」シリーズを始め、数多くの主演作で刑事役を人情味たっぷりに演じていることで知られる。そんな寺島の代表作のひとつが、2010~2018年に放送された土曜ワイド劇場の「再捜査刑事・片岡悠介」シリーズだ。 【写真を見る】刑事役を熱演した寺島進 気さくでお調子者、そして美人にめっぽう弱い、警視庁捜査一課の型破り刑事・片岡悠介が、未解決事件の継続捜査を行う過程で浮かび上がるさまざまな人間模様を描く本シリーズ。中でも「再捜査刑事・片岡悠介8」は、片岡の初恋の相手との再会から始まる物語だ。 とある公園で、小料理屋の店主・二階堂隆二(池田政典)が殺害される事件が発生。凶器の包丁からは、5年前の料理評論家殺人事件の被疑者で、事件後に飛び降り自殺を図った桜木敏彦(原田龍二)の指紋が見つかる。二階堂殺人事件の捜査の過程で高校時代に想いを寄せていた桜木春美(三浦理恵子)と運命の再会を果たした片岡は、胸をときめかせながら、5年前の事件の再捜査に動き出す。秩父の酒蔵と外食チェーンの料亭買収が結びつき、事件の謎が動きだす最中、自殺したはずの敏彦の生存が明らかになる...。 ■片岡刑事を愛されるキャラクターに育て上げたのは、寺島のエネルギッシュな演技 本作で寺島が演じる片岡は、大きな瞳をキラキラ輝かせながら、常にハイテンションで話すエネルギッシュな刑事。母(吉行和子)とふたり暮らしする自宅に奥村澪(原沙知絵)や浅野直樹(金子貴俊)ら後輩が気軽に立ち寄っていることから、人望も厚いことが伺い知れる。科捜研技官・一二三祐希(吉田羊)から「用意しておいた資料を見るか」と尋ねられた時に「見る見る」と返すなど、職場でも"軽いノリ"をキープする片岡。事件の資料を確認する際に奥村刑事に密着し、「近い!」とうっとうしがられるものの、不思議と嫌悪感は露わにされない。そんな片岡を寺島は持ち前のひょうひょうとした雰囲気とダンディーなビジュアルで体現している。 初恋の相手・春美が殺人事件の重要参考人として取り調べを受けている現場を目撃したシーンでは、「天使!」と叫び、久しぶりに会えたとハイテンションで大喜び。少年のように無邪気でいきいきとした演技を披露する寺島の姿に、思わず微笑んでしまう視聴者も少なくないだろう。一見すると、人は良いけど刑事には向いてなさそう、と思いがちな軽いノリの片岡だが、春美が握りこぶしを口元に持っていく仕草を見て「変わらないなあ。昔からこうするんだよ。嘘つく時、必ず」と言い放つなど、刑事らしい鋭い観察眼も持ち合わせている。 時にクール、時におちゃめと、クルクルと変わる豊かな表情や聞く者を元気にする力強い声など、自らの個性と魅力を最大限に活かし、片岡悠介という刑事を愛すべきキャラクターに育て上げた寺島。そんなパワフルな演技から不思議と元気をもらえる本作の事件の結末と、エンディングで寺島が見せる優しい表情を、ぜひその目で見届けてほしい。 文=中村実香
HOMINIS