「よくなったと感じるのは…」打撃投手にブルペン捕手、カープの裏方が明かすリアルな選手評…秋季キャンプの成長株とは
9月の急失速によって2年ぶりのBクラスに終わった広島は、今月4日から若手選手を中心に宮崎県日南市で秋季キャンプを行っている。 【貴重写真】白スーツの衣笠、打席でエグい殺気の前田やノムケン、胴上げされる山本浩二、痛そうな正田、炎のストッパー津田恒美などカープ名選手のレア写真を一気に見る 今季リーグ5位の得点数に終わったことから、キャンプで重きを置くのは打力の強化。午前から午後まで打撃練習がみっちり組まれ、守備練習は例年に比べて極端に少ない。ロングティーと連続ティー打撃で締めくくられる一日の練習が終わる頃には陽も傾いている。 一方、投手練習はブルペンでの球数が全体的に大きく増え、1クールに1度は実戦に登板するなど、練習と実戦の反復となっている。メディアでも「練習時間が長い」「スイング量が増した」「〇〇球の投げ込み」「実戦漬け」などと報じられてきた。 キャンプが終わるとすぐにシーズンが始まる春季とは違い、シーズンが終わったばかりの秋季の成果はわかりづらい。個々に課題を持ち、それぞれが方向性を明らかにしてオフに入ることに意味があるとも言える。 そんな中、“変わり身”を見せた選手は誰か──。秋季キャンプでも一日中選手をサポートし、その変化を五感で感じている裏方陣にリアルな選手評を訊いた。
打撃投手が語る打者の成長株
まずは、現在プレミア12を戦う侍ジャパンが大会前に宮崎で行った合宿で、打撃投手を務めた上野弘文打撃投手に訊いた。2006年大学・社会人ドラフト3巡目で広島に入団。08年に42試合登板8ホールドを記録するなどして、14年まで中継ぎとして通算154試合に登板。15年から転身した打撃投手としてのキャリアは、すでに現役投手としてのキャリアを上回っている。 「こっちに来ている選手たちと比べちゃいけないけど、やっぱり代表に選ばれるような選手のスイングは強い。キャンプではどの選手も本当に一生懸命練習しているなかで、良くなったなと感じるのは、二俣(翔一)です。投げていても打球の強さが出てきたと感じます」 二俣は24年シーズンに一軍昇格を果たした開幕3戦目から、一度も二軍に降格することなく80試合に出場した成長株のひとり。ユーティリティープレーヤーとして存在感を発揮してきたが、もともとは思い切りのいい打撃を持ち味としていた。今オフは原点に立ち返るように、構えのスタンスを極端に狭めた脱力感のある構えからバットをしならせて強く打ち返す打撃を追い求めている。 もうひとり、同じ打撃投手に訊いた。来年が打撃投手歴25年目となるベテラン高橋英樹も、元広島の選手。90年にドラフト3位で入団し、3年目には先発13試合を含む23試合に登板。97年には中継ぎとして42試合に登板したが、99年までの実働6年で97試合登板に終わった。00年から打撃投手を務め、広島の歴代打者の成長を後押ししてきた。また、13年のWBCや15年のプレミア12では侍ジャパンをサポートした。 「侍の選手たちは、どこでも打つ。投げた球がチェンジアップみたいになってしまっても、しっかり止まって打ち返せる。前田(智徳)さんがいっぱいいる感覚だね。今の一軍でもアキ(秋山翔吾)とかはきっちり打つ。ここに来ている選手たちはまだできないけど、それは経験だと思う」 打たせることが仕事であるからこそ、打者の変化、成長を肌で感じる。「天才」といわれた前田智徳のすごみも、肌で感じてきた。そんな歴史の証人のようなベテランが挙げたのは、この2年で計1本塁打と伸び悩む林晃汰だった。 「この秋はやっぱり、(林)晃汰がいいんじゃないかな。俺の感覚なんだけど、スイング、ヘッドの感覚がすごくいいなって。ちゃんと捉えているし、タイミングの取り方も良くなっている。本人もちょっと自信になっているんじゃないかな?」 林は21年に10本塁打を記録した左の大砲候補。だが、一軍での出場機会を与えられなかった22年から続く停滞感を打ち破れていない。この秋はシーズン終了後から、スイング時に左肩が下がる悪癖改善と下半身主導の打法習得に取り組んでいる。
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