石破茂氏「一番好きな歌手」は岩崎宏美、スーちゃん亡きキャンディーズは「想い出の中」、意外な選曲も
自民党の新総裁となった石破茂氏(67)は「1970年代のアイドル好き」として知られている。キャンディーズ・ファンであることは有名だが、実はそれだけではなかった。今年1月、東京・永田町の衆議院第二議員会館で石破氏を取材した際、「歌」についても話を聞いた。(文中一部敬称略) 【写真】天性の歌唱力でデビュー当時からアイドルを超えた存在だった岩崎宏美 昨年大みそかの紅白歌合戦での伊藤蘭の登場シーンに話が及んだ。取材時点では約3週間前の出来事で強く印象に残っていたからだ。石破氏も含むリアルタイム世代のファン「全キャン連」(全国キャンディーズ連盟)の男性たちが声援を送る姿について問うた。 石破氏は「世代を超えて楽しめることはいいことですよね」と受け止めつつ、「私自身は、同じ盛り上がり方はしないかな」と私見を述べた。さらに、「私は伊藤蘭さんのコンサートに一昨年頃にもチケットを購入して行きましたが、皆さんのコールの輪には入りませんでした。楽しむ流派はいろいろあっていいと思っていて、私自身は『想い出』みたいなものは自分の中にしまっておきたいな、というのがあります」と語った。 メンバーの「スーちゃん」こと田中好子さん(11年死去、享年55)の不在について、石破氏は「キャンディーズは3人そろって『キャンディーズ』なわけであって、仮に、藤村美樹さんが伊藤蘭さんと一緒にやることがあったとしても、2度と〝キャンディーズ〟であることはないわけですよ。やはり、(ファン)それぞれの心の中にいればいいものなんだと、私は思っているんですね」と思いを述べた。 その上で、石破氏は「『一番好きな歌手は誰ですか?』と聞かれたら、岩崎宏美さん、と答えますね」と明言。「岩崎さんのコンサートにも年に1回くらい行くんですけど、ご本人も、そして、いわゆる親衛隊の統制の取り方も昔から変わっていなくて、すごいですよ。それなりの努力が必要なんでしょうね。感動しますよ。岩崎さんは歌唱力も含め、天才だと私は思っています。ご本人は江戸っ子っぽい、さっぱりした人です」と絶賛した。 具体的な「好きな曲」については「雑誌に執筆しましたから」と石破氏に伝えられ、文藝春秋2月号を購入。「私の昭和歌謡ベスト3」という特集に選んだ歌への思いが記されていた。 石破氏はキャンディーズの「やさしい悪魔」(77年)と並び、岩崎の「銀河伝説」(80年)を選択。同曲は東映劇場用アニメ「ヤマトよ永遠に」上映館の幕間で流され、テレビアニメシリーズ第3作「宇宙戦艦ヤマトIII」第1、2話のエンディングテーマに使用された曲だ。石破氏は「抜群の歌唱力を持つ岩崎宏美の名曲」と定義し、「われわれ『宇宙戦艦ヤマト』世代にとって、ささきいさおの勇壮な主題歌とともに、強く印象に残る」と名作アニメへの思いと重ね合わせた。 さらに、もう1曲は直木賞作家・野坂昭如が歌った「マリリン・モンロー ノー・リターン」(71年)。田中角栄の金権政治を批判して83年の衆院選に新潟3区で無所属の対立候補となって落選した野坂は自民党にとってアンチな存在であったが、石破氏は「ナンセンス・ソングではなく、深い含蓄を持った歌だったことを、閉塞感に満ちた今、痛感させられる」と理解を示した。 そんな与党内の〝在野精神〟を政権のトップに立っても持ち続けられるか。歌に癒やされ、後押しされて生きた石破氏の今後に注目したい。 (デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)
よろず~ニュース