「18歳選挙権」法案成立へ どんな効果や課題がある?
2月17日、共産、社民両党を除く与野党8党1会派が、「20歳以上」の選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公選法改正案を衆院に再提出する方針を固めました。これにより、今国会での成立が確実となったといえます。2016年夏の参院選では、約240万人の未成年者が有権者となりそうです。 【図表】国民投票法 3つの「18歳」があるってどういうこと?
国民投票法に伴う「3つの18歳」
選挙権年齢の引き下げは1945年に「25歳以上」から「20歳以上」に引き下げられて以来、70年ぶりです。世界的な傾向でみれば、20歳未満の選挙権は珍しくありません。欧米諸国は表のように1970年代前後に18歳に引き下げていますが、同時に成人年齢を引き下げるなど選挙権年齢と合わせる国もあります。 NPO法人「Rights」によると、現在、18歳選挙権は世界の85%の国が導入し、さらに欧州各国では、18歳から16歳への選挙権引き下げへの動きが広がっているとしています。
今回の選挙権年齢の引き下げは、2014年に成立した国民投票法改正と、その際に結ばれた8党合意が背景にあります。2007年の国民投票法の成立によって、国民投票年齢が「18歳」と位置づけられ、2010年から施行となりました。この時、付則で公職選挙法の選挙権についても「18歳」に引き下げる事が明記されていたのです。 しかし、選挙権年齢が18歳になったとしても、国民投票法改正に伴う「3つの18歳」問題のうちの「成人年齢」は、現状20歳のまま残っています。20日の会見で上川陽子法相は、この民法の成人年齢引き下げの検討を表明しました。 選挙権年齢や成人年齢の引き下げには、いくつかの論点があります。選挙権を持つということは主権者になるということです。現行の少年法では満18歳以上20歳未満は少年法で裁かれます。つまり、犯罪を犯しても保護処分されることが原則で実名報道をされる事もありません。少年法の適用年齢をどうするのか。若者の政治参加がという点では、「18歳選挙権」は大きな意味を持ちますが、保護対象者であるのに主権者というのは、権利と責任において不均衡であるといえるのです。 そのため、民法第4条の「年齢二十歳をもって、成年とする。」という部分を改正し、刑法も18歳を成人年齢として扱うようにすべきだという議論があるのです。成人年齢引き下げに関する法律はたくさんあるので、そうした関連法との整合性も調整する必要もあります。