渡辺大 舞台&ドラマ&映画「全部をぽんぽんぽんと制覇したい」不惑の俳優、25年は八面六臂
<情報最前線:エンタメ 舞台> 俳優渡辺大(40)が出演する日本テレビ系深夜ドラマ「いきなり婚」(火曜深夜0時24分)が7日、放送開始となる。また、映画「シンペイ~歌こそすべて」(神山征二郎監督)は10日に公開され、さらに3月にはミュージカルレビュー「TARKIE~伝説の女たち」、5月には舞台「Take Me Out」が控えるなど、25年は八面六臂(ろっぴ)の活躍が期待される。不惑を迎えた渡辺に話を聞いた。【川田和博】 ★自分にとって節目 映像、銀幕、舞台に大忙しの渡辺は昨年、不惑を迎えた。「自分にとっては節目の年で、若手でもベテランでもなくすごくふわふわしたところで、自分の立ち位置をしっかり固めないとなっていう思いがあった」という。そんな中、昨年10月に上演した舞台「罠」への出演は「今までとちょっと色が違う作品で、役者としてステップを上げることができたと思う」とした。 ★40年で経験は3本 これまでは主に銀幕を主戦場とし、舞台の経験は意外にも少ない。「昨年までで3本なんです」。そんな渡辺に舞台を意識させたのが、映画「シンペイ」で映画初出演にして初主演を果たした中村橋之助(29)の存在だった。「(中村)芝翫さんにはすごくお世話になっていて、よろしくお願いしますと言われたけど、僕が何か言う必要もないくらいでした」という。「橋之助くんは子供の頃から板に上がっているので器用というか、出来上がった映像を見ても素晴らしかった」と続け、「舞台の人の強さを目の当たりにした。それもあって僕も舞台やるようになったんです」と告白した。 舞台「罠」を経験することで変化が生まれた。「役者の挑戦を生で見てもらえるというのが面白い。リアルタイムで挑戦する様をお届けするのはなかなかない」とし、「お客さんと一緒に、雰囲気も含めて作品を作り上げていくのも舞台の面白さだと思う」と語気を強めた。 ★被災地上演「光栄」 同作は富山・氷見市でも上演した。「大変な時期に、つらいことを忘れて没頭できたという人もいらっしゃった」と振り返った。「僕なんかが物理的にどうこうできる力はない」とした上で「ちょっと楽しくというのが精いっぱいなのかなと思いながらも、その精いっぱいをやらせてもらえる良さもすごく感じました」と続けた。「いろんなところでやらせていただくと、そのお客さんにとっては一生に1度なのかもしれない」とし、「そこに立ち会える、そこに僕がいられるというのはすごく光栄なことかなと思います」。 40年間で3本だった舞台は来年、すでに2本決まっている。「自分にとっては舞台が1年の半分になりそう」と笑い、「そういう意味ではちょっと新しいことになっていくんじゃないかと思います」と声を弾ませた。 ★バランスよく制覇 その一方で「舞台とか、ドラマとか、映画とかではなくその各現場で、ドラマで培ったものを舞台に持ち込みたいし、舞台で勉強したこと、本当に舞台の見せ方はすごく勉強になったので、それをどんどん使っていけるようにしたい」とし、「全てバランスよく、全部をぽんぽんぽんと制覇していきたいです」と胸を張った。 ◆渡辺大(わたなべ・だい)1984年(昭59)8月1日生まれ、東京都出身。02年、テレビ東京系スペシャルドラマ「壬生義士伝~新撰組でいちばん強かった男~」でデビュー。ドラマはテレビ朝日系「臨場」シリーズ、NHK BSプレミアム「独眼竜 花嫁道中」など。映画は「男たちの大和/YAMATO」「空飛ぶタイヤ」など多数。父は渡辺謙、妹は杏。185センチ、74キロ。 ■映画「シンペイ」初主演映画も神山監督作品 映画「シンペイ~歌こそすべて」では作詞家の西条八十を演じる。「(中山)晋平さんとの関係性、(野口)雨情さんとの関係性を見て、バランスを考えながら演じた」。神山監督は08年公開の初主演映画「ラストゲーム 最後の早慶戦」でもメガホンを取った。前作「時の行路」にも出演しているが、「体調を崩されて現場にいらっしゃらなくて、心配していました」。だが今回は、「生き生きと現場で指揮を執っていらっしゃったのがすごくうれしくて」と目を細めた。特に思い入れが強い神山監督の作品。「これから出るたびに監督と1個1個大事に、今まで以上に大事に作品をかみしめていこうと思ってたので、すごくうれしかったです」。 ■ドラマ「いきなり婚」これからの世代、自分に良い糧に 元日向坂46齊藤京子(27)初主演となる日テレドラマ「いきなり婚」では、城田優(39)演じる安藤創と同期の営業部課長池崎雅也を演じる。同作は漫画が原作だが、「漫画のちょっと現実離れしたパワーもありながら、それをちゃんと大人の現実的なドラマに落とし込んでいるので、そこは漫画とドラマのコントラストが出ていると思います」とアピール。「実はこの2人ともいろいろな関係性があって、それはおいおい分かってくるので楽しみにしていてください」。 撮影現場では城田とともに年長組。「勝手が分からない頃の自分を見ているようですが、みんな腹が据ってるなと思いながら見させていただいています」。両方の立場を知る者として「うまいことケミストリーができるようになれば」とし、「多分これからの世代との作品は、自分にとっても良い糧になると思います」。 ■舞台「Take Me Out」映画監督とは違う藤田氏演出面白い 5月公開の舞台「Take Me Out」は、華やかなメジャーリーグにおける閉鎖性によって浮き彫りとなる、社会的マイノリティーに深く切り込んでいる。日本では16年に初演、18年に再演され、今回が3度目。同作の演出担当藤田俊太郎氏は蜷川幸雄さんの演出助手を務めていたが、藤田氏が手がけた映像系でともにした。「全然映画の監督とは違うアプローチで作品を進めていくので面白い人だなと思っていた」とし、「今回、藤田さんからお声がけいただいて、すごくうれしかったんです」。まだ稽古は始まっていないが、「『あの人だったらどういう風に言ってくれるんだろう?』という楽しみがある」と期待をふくらませている。