ロッテ京大君が3回KO。今後は中継ぎで再出発!
京大卒の初のプロ野球選手として注目を集めていた田中英祐(23)が29日、QVCマリンで行われた対西武戦でプロ初先発、制球が定まらず6安打3四球5失点で、わずか3回KO。プロの洗礼を受け黒星デビューとなった田中だが、3三振を奪うなど、今後への可能性ものぞかせ、明日30日の西武戦からは、ベンチで待機、中継ぎで再出発することになった。
「チケット完売」。 JR海浜幕張の駅に早々と看板が立てられた。来場者全員にレプリカユニフォームが配られるイベントに加えて、話題の京大君の予告先発。超満員に膨れ上がったマリンのマウンドに立った田中は「鳥肌が立った」という。 秋山への初球は、146キロを表示したストレート。「磨いてきたボール。ストレートでリズムを作っていきたかった」と考えたが、1球、2球、3球とストライクが入らない。四球で先頭を歩かせると、鈴木がマウンドへ。肩を抱かれ「しっかりと腕を振れ!」と声をかけてもらったが続く栗山にも制球がままならず連続四球。今度は落合投手コーチがベンチから出てきて「ボールを置きにいくなよ」と注意を受けた。 浅村には、落ちないフォークを弾き返された。田中の足元を襲った打球はセンターへ。先制を許し、おかわり君には、また抜けたフォークを左中間へ運ばれた。2点を失い、なお無死二、三塁。「ひとつアウトをとるのが、これほど難しいかと思った」。 メヒアは、フォークでスイングアウト。ようやくひとつアウトをとったが、DHの森に捉えられた打球は、センターフェンスを直撃。あわや本塁打の一撃で走者を一掃された。これも落ちなかったフォーク。若いバッテリーは、冷静に、その日に使えるボールを選択できていなかった。 「せっかくチャンスをいただいたのに自分のピッチングができずチームに迷惑をかけて申し訳ない気持ちです。地に足がついていない感じで、立ち上がりからボールを置きにいって打たれてリズムに乗れなかった。自分の力の無さを痛感しました」 前夜は12時に就寝。「いつも通り」の先発前夜を過ごしたが、極度の緊張からか、ウォーミングアップのブルペンからボールが抜けるなど、いつもと違った。ただでさえ制球力はある方ではないのだから、ボールが先行すれば、ウイニングショットが威力を持たなくなる。三回にも、またメヒア、森、斉藤の3連打を浴びて1点を失い、わずか3回で5失点、72球で降板した。初先発抜擢を受けたルーキーは、一人でゴールデンウイーク初日の重要なゲームを壊してしまったのである。 実は、試合前、伊東監督は「四球、四球で崩れるのが怖い」と、緊張から自滅する危険性があることを危惧していた。 「最低の試合。超満員のファンに来ていただいたのに残念でしょうがない。田中にプレッシャーはかけたくなかったんだが、悪い方に出た。自分のボール出せなかった。でも、これがプロ。厳しい世界であることをわかってくれたと思う」 涌井、イ・デウン、石川に続く4人目の先発が安定しないというロッテの苦しい投手事情もあって田中に先発チャンスが回ってきた。しかも、9連戦である。 ファームで実績を残してはいたが、本当は、まだ田中には1軍で通用する力はないのだろうか?