習近平、絶望…!「トランプ2.0」の熾烈な対中制裁に「対抗手段ゼロ」の衝撃
台湾を巡るトランプと習近平の駆け引き
これまで台湾をめぐってトランプ氏は種々の不規則発言を展開してきた。 一つは、「中国が台湾を侵攻した場合、アメリカは北京を攻撃する」。これは単なる脅しといわざるを得ない。もう一つは、「中国が台湾を侵攻したら、中国からの輸入品に200%の制裁関税を課す」。トランプらしい発言だが、関税を課したからといって、北京の軍事行動を止められるとは思わない。さらに、「台湾が守ってほしければ、お金を払わないといけない」。安全保障の問題をお金で解決しようとする発想もいかにもトランプらしいといえる。それに加えて、「台湾がアメリカの半導体技術を盗んだ」ともいわれている。まったくの暴言といわざるを得ない。自由な市場経済において著作権を侵害していなければ、どこに工場を建設して生産を行うかは企業の自由である。おそらくトランプ氏本人も自分のこれらの発言を覚えていない可能性がある。 冷静に考えれば、習近平国家主席はほんとうに台湾に対して軍事行動を取るとは思えない。むろん、台湾の立場に立って考えれば、人民解放軍が侵攻してくるリスクに備えなければならない。では、トランプ2.0でアメリカは台湾を守るのか。この設問に答えるために、台湾がアメリカにとっての重要性を考えれば分かる。 軍事と安全保障をまったくわからないトランプ氏だからこそ台湾にお金を払えと要求した。しかし、アメリカにとって台湾はアメリカの太平洋権益を守るための航空母艦のような存在である。中国が台湾を統一したら、中国軍が自由に第一列島線を通過することができるようになる。このように考えて、アメリカが台湾を失っていいのかが問われている。ここで問われるのはアメリカが台湾を守るかどうかではなくて、アメリカがどのように台湾を守るである。 中国は台湾を侵攻する可能性が低いが、中国軍が軍事演習などで台湾軍と予想外に小規模な衝突になる可能性を排除できない。米軍がそれに割って入るのは事態を複雑化させてしまう恐れがある。米中は対話して共同でリスクを管理していかなければならない。したがって、米中は対話を続けることが重要である。 繰り返しになるが、トランプ2.0で台湾海峡が有事になる可能性はそれほど高くない。それよりも、トランプ新内閣がどのような人物によって構成されるかを見極める必要がある。その人選は米中関係に大きな影響を与える。 トランプ2.0にとって解決しないといけない外交課題が多すぎる。プライオリティの高いのはいかにウクライナ戦争を終結させるかである。選挙戦のとき、自分は24時間以内にウクライナ戦争を停戦させることができる豪語していた。選挙戦のときの不規則発言は当てにならないが、ウクライナ戦争を一刻も早く終わらせないといけないのは確かなことである。それに比べれば、台湾問題は劣後である。しかし、台湾問題は喫緊の課題ではないが、戦略的に重要な課題である。