そこに愛があった…名作『ひとつ屋根の下』視聴者を号泣させた「あんちゃんが熱すぎる」名場面
■「これで血はつながった」熱いあんちゃんのセリフに涙する輸血シーン
あんちゃんが小雪に輸血をするシーンが視聴者の涙を誘った、第9話「そこには愛がある」の回も印象的だった。 6人きょうだいのうち、実は長女の小雪だけ血がつながっていないことが発覚する。小雪は幼い頃に何度も手紙をくれた実の母親のもとを訪れるが、母は自分の娘であることに気づかなかった。そのような経緯もあり、小雪は疲れて貧血を起こしてしまう。 そんな小雪に対し、自分の血を輸血して助けるあんちゃん。隣のベットに横たわる小雪に、「あんちゃんの血は温かいか? そこには思いっきり愛があるからな」、「もうこれで血が繋がってないとか言うな」と、熱く優しいメッセージを伝えるのであった。 小雪は自分だけ血のつながらない家族のなかで孤独を感じていたのだろう。しかし大切な家族というのはそれだけではない。あんちゃんが言う「そこには愛があるからな」というセリフが、すべてを物語っている。 ちなみにこの「そこに愛はあるのかい」というあんちゃんのセリフは、ドラマを通し、随所に登場する本作を代表するセリフだ。ここぞという場面にインパクトを残したこのセリフは当時の流行語にもなっており、多くの視聴者の心に深く刻まれた。
■熱すぎるけれど泣ける…ラストのマラソンシーン
平成時代を代表するホームドラマとして名高い『ひとつ屋根の下』。最終回「上を向いて歩こう」では、やはりあんちゃんが中心となって柏木家が大団円を迎えるシーンが感動的だった。 もともとあんちゃんには、足の故障を機にマラソンランナーを引退した過去があった。ストーリー終盤は小梅が暴漢に襲われ、その問題が原因で家族はバラバラになってしまう。 家族の気持ちを1つにするため、一念発起してマラソン大会に出場するあんちゃん。ケガを抱えた足では完走すら危ういものの、足を引きずりながらゴールを目指し奮闘するのだ。 きょうだいたちは自分自身のおこないや考えを振り返りつつ、そんなあんちゃんを必死で応援する。最後はボロボロになってゴールしたあんちゃんをみんなで出迎え、涙するのであった。 ケガを抱えた元ランナーが、家族のためにもう一度フィールドに立つという設定はベタな展開に思えるかもしれない。しかし『ひとつ屋根の下』では、そのテーマが全く違和感なく描かれていた。江口さん演じるあんちゃんの熱いセリフや行動も、彼のキャラクターに完璧にマッチしており、視聴者に自然に受け入れられた。 また江口さんをはじめとする役者陣が、まるで本物の柏木家のきょうだいであるかのようにそれぞれの役を情熱的に演じたのも大きかっただろう。その結果このドラマは、多くの人の心を動かす忘れられない感動的な名作となったのだ。 江口さん演じるあんちゃんは、時に情にもろく、喧嘩っぱやい一面もあった。しかしそのようなキャラクターは、昭和を中心に多くの映画が制作された『男はつらいよ』の“寅さん”にどこか通じるものを感じる。 平成の寅さんのような活躍を見せてくれた『ひとつ屋根の下』のあんちゃん。その熱き言動は多くの視聴者の心を掴み、感涙とともにフジテレビドラマ最高視聴率を叩き出したのだ。
でかいペンギン