遅番感覚で大学へ?関西圏私大唯一の夜間学部生の思い
学び直してふるさとで教師になりたい
午後7時40分から始まる四條講師の講義を受講する学生たちに聞いた。金子達哉さんは25歳の1年生。岩手県の高校を卒業後、就職のため上京。大学で学びたいとの思いがあったものの、仕事に追われ、踏ん切りがつかない。 4年半働いてふるさとの普代村へ戻る。東日本大震災の被災の中から立ち上がろうとする人たちとふれあい、大学進学を目指す気持ちに筋が通った。 「教員になり、ふるさとの子どもたちに教えたい。教員になる決意を固めた後、インターネットで検索して、働きながら学べる大経大経営学部第2部を知り、迷わず受験しました」(金子さん) コンビニでアルバイトをしながら大学に通う生活にも慣れた。通常の講義に加え、教職課程も受講して教員をめざす。 「必修科目が設定されていないので、進路希望に応じて自由にカリキュラムを組めるので助かります。年下の同級生ともうまくやっています」(金子さん) 岩手、東京から岩手を経由して、大阪へ。日本列島を縦断しながら目標へ突き進む。
国公立大断念も学費の安い夜間学部へ
兵庫県出身の池田利満さんは24歳の4年生。高校卒業時、両親との取り決めで、学費の安い国公立大学に限定して受験。現役時代から2年連続してトライしたものの、わずかに届かず。しかし、池田さんの学習意欲は衰えない。 「1年間アルバイトをして入学金と受験料を貯金し、安い学費で学べる大経大経営学部第2部に入学しました」(池田さん) 飲食店チェーンなどで働きながら4年間通学し、まもなく卒業する。後輩たちに「経営学部第2部は学費が安く、講義も充実しているので推薦します。いろんな業界のことが学べる社会人学生ゼミには、ぜひ入った方がいいですね」と助言する。 ふたりとも明確な信念を抱いて仕事と大学を両立させながらも、余分な力みを抜いて自然体を保つ。自分なりの暮らしの中で、どんな学びのスタイルが可能か。しっかり考えて選び取った道だからだろう。
夜間教育の新たな可能性を切り開く
社会全体で1日の活動時間が延びた今、昼間の通学に、必ずしもこだわらなくていい。アルバイトを通じて、早番勤務と遅番勤務を体験する若者文化も定着した。生活環境と学習目標のバランスを取りながら、夜間の大学に通うという選択肢があることを、現在の2部学生たちは証明しているようだ。 必要に応じてアルバイトの遅番勤務を選ぶ感覚で、夜間教育を活用してもいいのでもないか。学生たちの意欲に応え、夜間教育の新しい可能性を広げるためにも、「夜学」や「苦学生」に代わる表現方法を見つけ出したい。詳しくは大阪経済大学の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)