違法オーナー商法で12億円売り上げか 環境省表彰太陽光ベンチャー
違法な販売預託商法(オーナー商法)で太陽光発電設備などを売ったとして、大阪府警は30日、山形県酒田市のベンチャー企業「チェンジ・ザ・ワールド」(破産手続き中)の元社長、池田友喜容疑者(47)=東京都中央区=ら6人を預託法違反の疑いで逮捕し、発表した。認否は明らかにしていない。 【写真】チェンジ社のオーナー商法の構図 生活経済課によると、同社は2017年以降、太陽光パネルなどの発電設備を個人向けに分譲販売し、購入者の代わりに管理して売電収入を分配するオーナー商法を展開していた。環境省は20年11月、「分散型の再生エネルギーの普及に貢献している」と評価し、同社を表彰していた。 逮捕容疑は、同法改正でオーナー商法が原則禁止された22年6月以降、内閣総理大臣の確認を受けずに事業を続け、同年12月までに40~50代の男女4人と発電設備に関する計218万円分の販売預託契約を結んだというもの。改正法の適用は全国初という。府警は、同社がこの期間に約3800人から計約12億円を売り上げたとみて調べている。 同社は22年12月に新規の販売を停止。23年2月に東京地裁で破産手続き開始決定を受けた。当時公表された負債総額は約38億4千万円、債権者は約1万2千人にのぼる。 ■「表彰した事業者の逮捕は残念」 販売した現物を預かり、運用を配当すると称して集金するオーナー商法をめぐっては、豊田商事事件や安愚楽牧場事件、ジャパンライフ事件など過去に大規模な消費者被害が起きた。 同法改正に向けた消費者庁の検討委員会は、20年8月時点で原則禁止の方向性を報告書で示していたが、環境省の表彰はその3カ月後。今年4月には表彰の経緯について国会でも取りあげられ、同省幹部が「よりしっかりと審査をしてまいりたい」などと答弁していた。 同省の担当者は池田容疑者らの逮捕を受け、「表彰段階では検討委の報告書の内容を認識していなかった。表彰した事業者の元代表者らが逮捕されたことは残念だ」と話した。(高井里佳子、小島弘之)
朝日新聞社