「国立競技場」報道公開 スタンド目線とグラウンド目線で感じたこと
THE PAGE
2020年の東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新しい国立競技場(東京都新宿区)が完成し、12月15日に開かれた竣工式の後、報道陣向けに公開された。陸上競技や女子サッカーの決勝が行われるこのスタジアムは、観戦する際にどんなふうに選手たちのプレーを見ることができるのか。国立競技場の内覧会に参加した。 【中継録画】国立競技場が完成 安倍首相ら出席し竣工式
●スキージャンプ台と同じ傾斜?
この日の内覧会では、完成した国立競技場の外観だけではなく、スタンドやグラウンドなどの内部が初めて公開された。旧国立競技場や他のスタジアムと比べて、観客席からフィールドはどう見えるのかが関心の一つだった。国立競技場の建築面積は約6万9600平方メートルで、旧国立(約3万3700平方メートル)より2倍大きくなった。 取材コースの中でスタジアムを俯瞰できる場所が、4階南側の大型ビジョン下だった。外周の通路から中に入っていくと、鮮やかな緑色の天然芝のグラウンドと赤茶色の陸上トラックが目に飛び込んできた。天気が快晴だったこともあり、否が応でも気持ちが高ぶる。はやる気持ちでグラウンドをのぞき込んだ第一印象は「高いな」だった。 国立競技場のこの4階部分は、一般的なマンションの7、8階くらいの高さ(約27メートル)に相当するという。ただグラウンドからの数字上の距離の割には近く感じた。実際に選手が入ってみないと分からない部分もあるが、たとえば、同じ陸上トラックのあるスタジアムである横浜国際競技場(横浜市)の2階席よりは、選手一人ひとりの姿は大きく見えそうな印象だ。 その要因はスタンドの傾斜のつけ方にある。スタンドは3層構造になっていて、1層目は20度と緩やかだが、2層目は29度、そして3層目は34度と上に行くほど勾配が強くなる。いわゆる「すり鉢」状で、客席からはグラウンドを見下ろす形になり、実際の距離よりも遠さを感じないのだという。 旧国立はスタンドの傾斜が緩やかだったので、見え方の印象は全く違う。カシマスタジアム(茨城県鹿嶋市)や埼玉スタジアム2002(さいたま市)の上層席の見え方に近いかもしれない。ちなみに34度という傾斜は、スキーの大倉山(札幌市)のジャンプ台の最大傾斜と同程度。担当者は「傾斜をつけて見やすさを重視した。臨場感を感じてもらえると思う」と話した。陸上競技の観戦でトラックの一部が死角で見えない席もないという。