中国、吠えまくりの「戦狼外交」から微笑みの「パンダ外交」へ急旋回の真意
■ 「恫喝」から「微笑み」へ 全国人民代表大会(3月5日~11日)を終えた後、習近平政権が、外交を活発化させている。その主なものは、以下の通りだ。 【写真】中国の「戦狼外交」を象徴する人物の一人、中国外交部報道官だった趙立堅氏 <アメリカ> 3月27日 北京で習近平主席がアメリカ企業の約20人のCEOらと面会 4月2日 習近平主席がジョー・バイデン米大統領と電話会談 4月7日 北京で李強首相がジャネット・イエレン米財務長官と会談 4月26日 北京で習近平主席がアントニー・ブリンケン米国務長官と会談 <ヨーロッパ> 4月16日 北京で習近平主席がオラフ・ショルツ独首相と会談 5月6日 パリで習近平主席がウルズラ・フォンデアライエンEU委員長、エマニュエル・マクロン仏大統領と三者会談 5月6日 パリで習近平主席がマクロン仏大統領と会談 5月8日 ベオグラードで習近平主席がアレクサンダル・ブチッチ・セルビア大統領と会談 5月9日 ブタペストで習近平主席がオルバン・ヴィクトル・ハンガリー首相と会談 <ロシア>(予定) 5月15日 北京で習近平主席がウラジーミル・プーチン・ロシア大統領と会談予定 <アジア>(予定) 5月26日、27日 ソウルで李強首相が岸田文雄日本国首相、尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領と会談予定 このように、これまで「戦狼外交」(狼のように戦う外交)と揶揄(やゆ)されてきた習近平政権が、突然、微笑みの「パンダ外交」を始めたのだ。 この背景には、一体何があるのか? 考えられるのは、以下の2点だ。
(1)これ以上の中国経済の悪化を食い止める (2)来年1月の第2期ドナルド・トランプ政権発足に備える ■ 中国人は「中国経済の好調」を信じていない (1)に関しては、中国の官製ニュースだけを見ていると、中国経済はいつも絶好調だ。だが、来日する中国人に話を聞くと、「経済がよくなってきた」「景気が上向き始めた」と言う人は皆無である。 国家統計局などが発表している「公式統計」を見ても、以下のように、とてもほめられるものではない。 ・第1四半期(1月~3月)の主力の国有企業の全国規模以上工業企業利潤は、前年同期比(以下同)-2.6%。 ・3月の貿易額は-5.1%(輸出-7.5%、輸入-1.9%)。 ・3月の住民消費価格(CPI)は+0.1%。 ・2月の若年層(16~24歳)失業率は15.3%。 ・第1四半期の全国不動産開発投資は-9.5%。うち住宅投資は-10.5%。 ・第1四半期の商品家屋販売額は-27.6%。うち住宅販売額は-30.7%。 ・第1四半期の不動産開発企業の手元資金は-26.0%。 ・3月の70大中都市中古住宅販売価格は、前月比で+1都市、-69都市。