ストーカー規制法が成立したのは殺害された娘の誕生日 父が京都市で明かした25年の思い
埼玉県桶川市で1999年に起きた桶川ストーカー殺人事件から25年を迎えるのを機に、娘の詩織さん=当時(21)=を亡くした父の猪野憲一さん(74)が10月1日、京都市伏見区の京都府警察学校で講演した。若手警察官ら約100人を前に「地域に安全を行き届かせてストーカー事件をなくしていこう」と訴えた。 【写真】亡くなった娘をスクリーンに映しながら、自身の体験を語る猪野さん 詩織さんは元交際相手の男からつきまといや中傷などのストーカー行為を受け、埼玉県警上尾署に告訴した。しかし、同署は告訴状を改ざんするなどして捜査を怠り、99年10月26日、男の仲間に刺殺された。 猪野さんは、詩織さんを「面倒見が良くて小さなお母さんのようだった」と振り返った。今も遺骨は墓に入れていないとし、「詩織を一人にするなんて、かわいそうなことはできない」と優しく語った。 当時の県警の対応や過熱したメディア報道に憤る一方、事件を契機にストーカー規制法が2000年5月18日に国会で成立したことに言及。「この日は詩織の誕生日。詩織が作ってくれた法律かもしれない」と述べた。 猪野さんは「市民の安全を守れる唯一の実践組織が警察。小さな悩みも確実に聞き、被害者に勇気を与えてほしい」と力を込めた。