簡単な作業で高額収入を得られるアルバイトとうたうショートメール。真偽不明のさまざまな情報が送られてくる（写真は一部加工してあります）

　「アプリを見るだけで簡単に稼げる」「電話料金の未納がある」－。電話や交流サイト（ＳＮＳ）を使った特殊詐欺や消費トラブルが鹿児島県内でも増えている。２０２３年の県内のうそ電話詐欺被害額は４億円を超える。電子決済や新紙幣発行を利用した新たな手口も次々生まれており、県消費生活センターや県警は警戒を呼びかける。 　県消費生活センターによると、２３年度に同センターと大島消費生活相談所に寄せられた相談は４３５４件で、前年度を９５件上回る。ここ数年増えているのが、副業・投資トラブルと不審な電話やメールに関する相談だ。 ■副業のつもりが 　副業・投資に関する相談は、２０７件で前年度から３６件増えた。２０代の若者の被害が多く、相談者自身が副業について調べる中で発生するケースが目立つ。 　ある相談者は、副業についてＳＮＳで検索する中で「簡単に稼げる」との広告を見てアプリに登録。担当者に「テキスト代を払う必要がある」と言われ送金すると、投資の外国為替証拠金取引（ＦＸ）だった。投資サポートの高額プランを「もうけて返せばいい」などと言われて勧められ、消費者金融からも借り入れして総額２００万円を振り込んでしまったという。

　県消費生活センターの三反田みどり所長は「自ら入り込んで、中身を知らずに副業を申し込んでしまう人が多い」と指摘する。「振込先が個人名義など怪しい点はあるはず。冷静に見極めて」と訴える。 　だましの手口は多様だ。ネット通販で商品の準備ができなかったため、電子マネーで返金すると申し出があり、表示された電子決済のリンクが逆に送金してしまう仕様になっているサイトもある。先月の新紙幣発行を巡っては「旧札が使えなくなる」と偽って回収する詐欺も登場した。三反田所長は「少しでもおかしいと感じたら、まずは相談を」とアドバイスする。 ■うそ電話も増加 　鹿児島県警によると、２３年に県内で発覚したうそ電話詐欺は１２８件。前年に比べ７０件増え、被害額は約４億５４００万円に上る。被害に遭うのは高齢者とのイメージがあるが、若者や中年世代も増加傾向という。電話で警察や金融庁を名乗ってクレジットカード情報を聞き取り不正利用したり、未納料金を請求したりする手口もある。電話だけの金銭が絡むやりとりには注意が必要だ。

　また、ＳＮＳを使った投資詐欺やロマンス詐欺、架空請求詐欺の相談も多い。生活安全企画課の後迫克章理事官は「自分の財産を守るために、お金の扱いには慎重になってほしい。身に覚えがない請求はうのみにせずに確認して、周囲に相談することも大事」と助言する。 ◇ 　相談は、県消費生活センター＝０９９（２２４）０９９９（月～金曜午前９時～午後５時、土曜午前１０時～午後４時）。市町村にも相談窓口がある。消費者ホットライン（局番なしの１８８）をダイヤルすると、身近な窓口につながる。