ライブBBT年間キャンペーン「命と未来をまもる」能登半島地震で家を失う 生活再建への道のり
富山テレビ放送
能登半島地震から1年が過ぎ、今年は、復旧、復興に向け、動きを加速させる年となります。 ライブBBT防災キャンペーン「命と未来をまもる」今週は、再生への課題を整理し何が求められているのか考えます。 7日は、住宅被害が最も大きかった氷見市、家を失った人たちの生活再建です。 *氷見市栄町に住む 青井博子さん 「ここが崩れそうなので柱を入れて支えている」 氷見市中心部の栄町、去年の元日の地震による液状化で大きな被害が出ました。 栄町の中でも、特に被害の大きかった新道地区に住む青井博子さん(50)です。 去年3月22日縫製業を営む両親と3人で暮らす青井さん。 自宅の損壊が激しく、応急住宅を手配しましたが住み慣れた、この地で生活を続けています。 *父・潔さん 「(仕事が)遅れてます。震災で1か月は仕事にならなかったですから。朝5時には目が覚めて目が覚めたら仕事にかかろうかって。(応急住宅に)泊っていたら行ったり来たりする時間がもったいない。仕事をしてある程度の収入を得ないとうちの家計が成り立たないから」 自宅は全壊と判定されましたが損傷が少なかった両親の仕事場は、何とか修繕して、生活の再建を図るつもりです。 しかし…、公費解体のスケジュールは、なかなか決まりませんでした。 *氷見市栄町に住む 青井博子さん 「4月ごろに業者が決まって、夏ぐらいに壊せれば良いのかなと。氷見市はどんどん復興してきて観光客の方も来ているけれど、この辺の人たちは1月2月から動いていない。取り残されている訳ではないけれど…なんとなくそういう感じがしないでもないかな…」 地震発生から1年。 年が明け、青井さんの自宅の公費解体は、今年、行われることが決まりました。 *氷見市栄町 沖崎明さん 「浮いている状態。畳が波打っている」 地震で被災し、複雑な思いを抱えながら、新道地区を離れた住民がいます。 自宅が全壊した沖崎明(73)さんです。 *氷見市栄町 沖崎明さん 「公費解体するのにどのくらい時間かかるのか地盤改良に何年かかるのか、そこが問題。私らは老い先短い年齢だし」 沖崎さんの自宅は、先月初旬から公費解体が始まりました。 *氷見市栄町 沖崎明さん 「納屋があって、物置があって、廊下、母屋だった。これは長女が生まれた時に作った内風呂。やっぱり長いことこの家で生活していたから家がなくなるのは悲しいね」 氷見市は、来年度末までに約800棟の公費解体を行い、液状化対策と、区画整理を進める計画です。 しかし、液状化対策の工法は、未だ、決まっていません。 *氷見市栄町 沖崎明さん 「地盤改良す3年、4年、5年、4年、5年と言われると、年齢を考えると無理かなと。どうするかと家族と話し合いをしている。別のところに行って建てようかと…。 *氷見市栄町 沖崎明さん 「(クリスマスツリーを)3歳の孫のために作った。孫があるからまだ楽しい」 沖崎さんは、現在、二次避難先の賃貸住宅で家族と暮らしています。 市が負担する賃貸の契約期間は残り1年あまり。このあと、どこで暮らすか、まだ決まっていません。 *氷見市栄町 沖崎明さん 「新たなところに(家を建て)住んだとして栄町の土地をどうしようか悩んでいる。まあ長男がいるから、なんとかなるのかな…」 高齢世帯が多い新道地区。 液状化対策や区画整理の見通しが立たない中、80世帯のうち、半数の40世帯が地区を離れました。 *氷見市栄町 沖崎明さん 「人気が全くない、だからいつ来ても真っ暗。ここらへんは更地になってにぎわいが無くなると思う。かといって我々はもういないから何もできない。(将来)新たな人たちに来てもらわないと」 昔ながらの佇まいが残る氷見市の中心部、栄町新道地区では、去年1年、住み慣れた地に住み続ける人、離れざるを得ない人の思いが交錯する1年となりました。 長屋が多いこの地区は、細長い土地に隣近所の共有地が混じり、区画整理も、一筋縄ではいかないという事情があります。 市が開いた説明会では「この町の未来が見えない」と、こぼす住民もいたということです。 液状化対策の地盤改良がどのような形で、いつからいつまで行われ、区画整理がいつ完了するのか、早く住民に「未来」を示すこと、そのことが、いま、市に求められています。
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