「無知」「愚鈍」「洗脳教育」…中国メディアは「早田ひな」をどう論じたか 東郷神社訪問「石川佳純」「張本智和」には「参拝したから惨敗した」
好感度はゼロ以下に
会見での発言をきっかけに、中国での早田ひなへの好感度はゼロ、あるいはマイナスに達しているのが現状だ。 「なんで神風特攻隊の会館に行きたいなんて言うんだ。(中国代表の)孫穎莎の髪を直してハグしているのを見た時は感動したんだが。申し訳ないけど、国家が第一。もう好きになることはないね」 「やっぱり日本人は歴史を正しく見ることができないんだな。日本人はどうしたって日本人。最初は尊敬に値するライバルと思っていたんだが」 中国において、歴史問題や領土問題は極めてセンシティブで注意を要するテーマと言える。日本の著名人や企業などが中国国内で一定の支持を得たいのであれば、戦争に関する話題や原発事故などの政治的なテーマには、一切触れない慎重さが求められる。仮に聞かれても「分からない、興味がない」とだけ返すほうが良い。一番安全なのは、そもそも興味を持たないことだ。 そのほか、満州事変(9月18日)、盧溝橋事件(7月7日)、南京事件(12月13日)、抗日戦争勝利記念日(9月3日)、五四運動(5月4日)、天安門事件(6月4日)といった中国にとって“センシティブな日”はすべて暗記し、その日は喜んでいるような投稿や明るい話題の発表を避けることが賢明だ。さもないと“反省していない”と見なされ、“中国人の国民感情を傷つけた”などと非難されかねない。
タブーの多い“日中友好”
靖国神社は言うまでもないが、中国人にとっては禁忌とされる神社がほかにも多数あるため、SNSや公の場では「神社に行った」などの書き込みもしないほうが良いだろう。また、台湾(中華民国)を国家と見なすような発言や、絵文字で台湾の国旗アイコンを使うことも避けた方がいい。 面倒くさいし理不尽に思えるかもしれないが、「中国人の支持を得たい」のであれば、どれも必要なことと言える。もちろん、そこまでして支持を得る必要はないと考えるのも、一つの判断だ。早田ひなの今後の動向に、注目したい。 西谷格(にしたに・ただす) 1981年、神奈川県生まれ。早稲田大学社会科学部卒。地方新聞「新潟日報」の記者を経て、フリーランスとして活動。2009~15年まで上海に滞在。著書に『香港少年燃ゆ』(小学館)、『ルポ 中国「潜入バイト」日記』(小学館新書)など。 デイリー新潮編集部
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