9秒台のビジョンは見えている “すり足”スプリンターの挑戦 夢のパリオリンピックへ!
海外での武者修行で見えたものとは…?
大会のない冬場にオーストラリアやニュージーランドへ飛び、ひとり、武者修行をしていた本郷選手。飛行機・宿・練習場所を自分で確保し、サポート無しで現地の大会にも出場。海外経験を増やして、見えたものがありました。 陸上100メートル 本郷汰樹選手: 「初戦(ニュージーランド)10秒22で走って、手応えが結構あったので、あのレースの感じでキレを上げていけば、もっといいタイムが出せる。9秒台も見えなくない」
本郷選手は6月2日に鳥取で行われた「布勢スプリント」にエントリーしました。これが日本選手権前、最後の大会です。 鳥取入りした本郷選手の元へ行ってみると、翌日の試合に向け、ホテルで1人準備をしていました。緊張で張り詰めているのかと思いきや「直前でスイッチ入れる方が好き」といい、思いのほかリラックスした様子です。
この日の2日前、サニブラウン・ハキーム選手がノルウェーの大会(ダイヤモンドリーグ・オスロ大会)で9秒台を出し、いち早くパリオリンピック内定を決めました。そのニュースについて触れると、本郷選手は知らなかったようで、早速ニュースをチェック。 陸上100メートル 本郷汰樹選手: 「2着だったんだ、すごいじゃん! (サニブラウン選手を)意識してないと言われるとうそになる。同級生だし誕生日も近いし、同じガーナのハーフ。意識しないわけがない。やっと同じ舞台に立てるチャンスがあるから、立ちたいなと思います。ここで立てなかったら、また架空の存在になっちゃう。同等の存在でいたい」 本郷選手がパリオリンピックに出場するためには『6月末までに10秒00の派遣標準記録を切ること』『日本選手権で最低でも2位以内に入ること』この両方を達成しなければなりません。 「布勢スプリント」で9秒台を出すことができれば、パリへの大きな一歩となります。
選考会前に派遣記録突破へ! 強力ライバルたちと大勝負
大会当日は試合直前までザーザー降りの雨。足もとのコンディションが決して良いとは言えない状況になりました。本郷選手は、よくアドバイスをもらっているコーチや、愛知から駆けつけてくれたトレーナーとも話し合いながら、入念にアップを行います。 決勝は、去年の日本選手権チャンピオン・坂井隆一郎選手や、自己ベスト9秒台の桐生祥秀選手など、日本トップレベルの選手が出場します。ここで9秒台が出れば、パリオリンピック出場条件を一つクリアすることができます。