【毎日書評】自分が大切にする「価値観」を2つに絞ると行動が変わり、人生が好転する理由
価値観を知ると行動が変わる
著者の知る20代の女性は、「仕事が続かない」「みんなができることが自分にはできない」と悩んでいたのだそうです。ところが著者の目に彼女は、海外で働いたり、留学したりと、とても挑戦が好きな人だと映っていたそう。 しかし本人にそんな自覚はなく、自分の仕事のできなさ加減ばかりを気にして悩んでいたということです。そこで、「その挑戦的なマインドがよさなんだと思いますよ」と伝えると、「え、これが私の強み?」と不思議そうにしていたのだといいます。 ちなみにそれから約3ヵ月を経て、彼女はフリーランスのウェブライターに挑戦するための情報収集をしているそう。実際に、ライター験を持つ友人に話を聞いたり、自分なりに調べているようです。つまり彼女のよさは、好奇心を抱いたことに対して情熱を傾けて挑戦的に取り組めること。著者はそう分析しているのです。 また、自分の価値観や強みを理解していないと、コミュニケーションの場においても不利に働くものです。なぜならコミュニケーションの場においては、自分を打ち明けることや、価値の共有が大事なだから。自分たちのことを知らなければ、同じ価値観を持っていたとしても相手とすれ違ってしまう可能性があります。また自己PRができなければ、必要な人材だと会社に認めてもらうことも難しいでしょう。 とはいえ、自分を知ることは難しくもあります。自分自身がいちばん長くつきあっているはずなのに、著者も日々、自分の新たな側面を発見するといいます。しかし、自分の価値観を知り、それを意識するようになってから人生が好転したようにも感じるそうです。たしかにそれは、生きていくうえで重要なポイントなのかもしれません。(82ページより)
自分が大切にしている2つのものを決める
では、どのように自分の価値観を見つければいいのでしょうか。もちろん手段はさまざまでしょうが、著者の場合は「自分が大切にしていることを2つ決める」ことをすすめています。 僕は決められた時間に決められた場所で仕事をすることに強烈なストレスを感じます。一方、自分の裁量で時間や仕事を決められると、能力が発揮しやすくなります。 また、みんながしているやり方を真似するよりも、自分なりに工夫して結果を出すことにやりがいを覚えます。 このことから、僕は自分の価値観として「自由」と「創造性」の2つを大切にしています。(84~85ページより) 当然ながらこれは、著者以外の人にもあてはまるはずです。たとえば「重要な仕事を任せてもらうとやる気が出る」「チームのなかで貢献することにやりがいを感じる」というのであれば、「責任」「協調」などが価値観になるわけです。 つまり、「こんなことにやる気を感じる」「充実する」といったようなことがあるなら、そういったことを羅列していくなかで“なにに価値を覚えるのか”がわかってくるということです。 ただし、価値観と目標・目的を混同しないように注意すべきであるようです。違いは、「ゴールがあるかどうか」。 たしかに「今年100万円稼ぐ」という目標は、それを達成できた時点で終わってしまいます。一方、価値観に終わりはありません。自由や創造性は、どこまででも追求することが可能なのです。つまりそれは、人生をかけて達成していく「あり方」を示すということ。だからこそ、価値観を定めるにあたっては、この違いを意識する必要があるわけです。 しかし、なぜ価値観を2つに絞る必要があるのでしょうか? 価値観を1つにしないほうがいい理由は、「価値観は変わるもの」という前提があるからです。価値観を1つと定めると、それがしっくりこないとき、また一から考えて、入れ替えるわけですが、変化が大きすぎます。まるで違った生き方、選択に舵を切る可能性があり、リスクが高まります。 また、逆に価値観が多すぎると、ブレます。価値観同士がぶつかってしまい、行動の指針が定まりません。したがって、価値観はできるだけ2つに集約するべきなのです。(86ページより) これは誰にも当てはまることでしょうが、境界知能の方にとってはことさら重要なポイントなのかもしれません。(84ページより) 境界知能について知らないまま過ごしていたとしたら、当人の不安感はどんどん大きくなっていくはず。 また、周囲の人たちにさまざまな誤解を与えてしまうことにもなるかもしれません。だからこそ当事者も、そうでない人も、本書を通じて正確な知識を身につけておきたいところです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: フォレスト出版
印南敦史