アクロバティックさらさら、バモラ……『ダンダダン』涙なしには見られない怪異たちの重い過去
高校生たちが妖怪や宇宙人などの圧倒的怪異と戦う姿を描く『ダンダダン』。アニメ化を機に、国内外でさらなる人気を集めている。個性的な怪異たちとの戦いはもちろん、コメディや青春群像劇といった要素が掛け合わさったところも本作の特徴だ。しかし登場する怪異たちの中には悲しい過去を背負ったものも多く、そのギャップに思わずダメージを食らってしまうファンも多いよう。今回はそんな悲しい過去を持つ『ダンダダン』の怪異たちを紹介していきたい。 ターボババア、くねくねなど“都市伝説の怪人”が「大迫力シリーズ」よりフィギュアになって登場 ▪️最愛の子どもを奪われてしまったシングルマザー まず紹介するのは、赤いロングワンピースと長い髪が特徴のアクロバティックさらさら。強烈な見た目と名前通りのアクロバティックな動き、アイラにしつこくお母さんと呼ばせようとする執着心など、かなりのインパクトがある怪異だ。 そんなアクロバティックさらさらも生前は普通の人間で、娘と幸せに暮らすバレエが得意なシングルマザーだった。ただ家計は苦しく仕事を掛け持ちしたり、時には売春をしながらどうにか生活していた。しかし、借金取りに子どもを奪われてしまったことから投身自殺してしまう。 このエピソードには「悲しすぎて困惑した……」「こんな悲しい悪霊をアクロバティックさらさらとか呼んでいいの?」といった同情の声が多く上がっていた。ちなみにアクロバティックさらさらの元ネタは、ネット上のオカルト掲示板で話題になった怪異で、福島県で投身自殺した女性の霊だという説がある。 ▪️生まれ育った星から逃亡してきた少女 触覚の生えた美少女のような姿をした宇宙人、バモラも悲しい過去を持つ怪異のひとり。体格は普通の人間と変わらないが、怪獣スーツを着用しての透明化や巨大化といった戦法で、モモやオカルンたちを苦しめた。 そんなバモラは生まれ育った星がほかの宇宙人からの侵略にあっており、多くの同胞を亡くしている。バンガという女性が孤児となったバモラを引き取り、バンガやその仲間たちが命がけで逃がしたことでバモラは地球にやってきた。バンガがバモラとの別れ際に掛けた「バモラ、愛してるぜ」というセリフは作中でも屈指の名シーンだ。 ▪️凶悪な妖怪が見せた悲しくも優しい過去 強烈な怪異で忘れてはいけないのがターボババア。今では招き猫の姿になってすっかりマスコットとなってしまったが、100キロババアとも言われる実力は凄まじく、相手を呪い殺すことができる作中でも最強クラスの妖怪だ。 そんなターボババアは廃トンネルを縄張りに力を振るっていたが、実はその廃トンネルは過去の連続少女殺人事件で乱暴され、バラバラにされた少女たちが捨てられた場所だった。ターボババアは、そんな理不尽な死を遂げて地縛霊になった少女たちを慰めて回っていたのだ。ターボババア自身が悲惨な目に遭ったわけではないが、凶悪な妖怪の慈悲深い一面に多くの読者が心を打たれた。 ほかにも閉じ込められて最後は生贄にされた少年が怪異になった邪視や、空襲によって母親が亡くなり自身も命を落としたカシマレイコなど、悲しい過去を持つ怪異はまだまだいる。物語をより味わい深くさせる『ダンダダン』の怪異たちにぜひ注目してみてほしい。
ヨークシャー