維新の消えた京都市長選 変わらない『非共産対共産』の構図!元京都府議がみた激戦の現場(オフィス・シュンキ)
二之湯氏の声を告示日に初めて聞いたのは下京区の四条大宮の路上でした。「北陸新幹線を延伸するのに、京都は一兆円負担。間違いなく京都市は破綻してしまう。私はこれを止めます」。二之湯氏は街頭演説や街宣車で、最初にどこでもこの話題から訴えているのが耳に残る形となりました。
京都市長選に3度目の立候補となった村山氏。中京区の選挙事務所は1月半ばまでは考えられなかったような様相を呈していました。告示日の出陣式。司会を務めた「自由を守る会」所属の東京都目黒区議・白川愛氏をはじめ、「神戸志民党」の創設者・元兵庫県会議員の樫野孝人氏ら地域政党の関係者が多く顔をのぞかせていました。 村山氏の推薦を取り消した4政党の中では、村山氏自身が立ち上げた「京都党」の議員の姿があったのみ。村山氏は「(政党の)推薦はなくなりましたが、彼らと作ったマニュフェストはホンマもんです。京都を立て直せるマニュフェストをこの選挙から削除してはいけないんです」と政治資金問題発覚にも関わらす立候補に至った理由を説明し決意表明としていました。
諸派の高家氏は独自の戦いを展開する。選挙公報では、以下の政策を訴えている。
宙に浮いた維新支持票の行方が選挙の流れを変える!
今回の選挙構図が告示日まで何度も変わることになったのは、二之湯氏が国政で対立する政党と相乗りする自民党京都府連に反旗をひるがえし、昨年10月30日に離党届を提出。その上で立候補を表明したのが最初でした。この後、国政で自民党は派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件に直面しますが、それに関係なく自民党京都府連は12月21日付けで「党の方針を非難した」などを理由に二之湯氏を除名。これにより、保守分裂になっていました。 そして1月13日。今度は「日本維新の会」が村山氏の推薦を取り消します。理由は村山氏の資金管理団体が券を販売しながらパーティーを開催していなかったという疑いのためでした。これに「教育無償化を実現する会」、「国民民主党京都府連」、地域政党「京都党」も追随(ついずい)し、村山氏への推薦を取り消しました。そして「国民民主党」は府連が取り消しを決めた日に党本部で松井氏に対する推薦を決定した、というのが公示日までの流れです。 「日本維新の会」はこれらにより自主投票となりましたが、同党は昨年の統一地方選挙で京都府議会、京都市会とも大きく躍進。京都市会では自民党と並んで最大会派、京都府会でも第2会派となっています。このことは、背後の支持する有権者の数と直結します。そのことが、今回の選挙でも、リアルタイムで流れを変える大きな要素となっていると思えます。 地元組織となる「京都維新の会」の上倉淑敬幹事長は「(推薦取り消しまで)こちらの資料でリードと出ていました。だから残念です」と、推薦していた候補が1月13日まで自党調査では有利に戦っていたことを明かし無念さをにじませました。しかし、この事実は、本拠地の大阪以外でも着実に「日本維新の会」が歩を進めていたことも証明するものとなりました。