日本上陸も間近!? 音楽聴き放題ストリーミング配信サービス「Spotify」
違法ダウンロードや海賊版など音楽業界の課題解決にも貢献
Spotifyは、音楽業界への貢献度にも注目が集まっています。現在の音楽業界で大きな問題となっているのが、違法ダウンロードや海賊版の横行です。正規ルートではないところから楽曲が広まっても、当然ながらレコード会社やアーティストには利益が一銭も入ってきません。しかし、Spotifyは無料でも使えるため、今まで違法ダウンロードや海賊版へ流れていたユーザーを取り込めるわけです。 さらにSpotifyで楽曲を再生すると、レコード会社とアーティストにロイヤルティが入る仕組みも極めて重要です。具体的には、「Spotifyが広告と有料会員から得た1カ月分の収入」×「対象アーティストの再生回数をSpotify全体の再生回数で割った数」×「権利保持者などに対する70%のロイヤルティ分配率(国によって異なる)」×「アーティストに対する印税率」=「アーティストへ実際に支払われるロイヤルティ」という計算式で算出されます。 こうした仕組みにより、音楽業界の大敵である違法ダウンロードや海賊版の横行を抑制すると同時に、レコード会社やアーティストへロイヤルティを還元することが可能になっています。詳細については、先日SpotifyがオープンしたWebサイト「Spotify ARTISTS」()にも書かれているので気になる方はぜひチェックしてみてください。
ライトユーザーを取り込み急速な成長を遂げる可能性も
Spotifyが日本に上陸した際、日本市場にはどのような影響が出てくるでしょうか。日本で使える代表的な聴き放題の音楽ストリーミング配信サービスとしては、Sony Entertainment Networkが提供する「Music Unlimited」が挙げられます。レコチョクの「レコチョク Best」や、KDDIの「KKBOX」などもありますが、楽曲数の面でかなりの開きが見られる状況です。 Music UnlimitedとSpotifyの一番大きな違いは、やはり無料プランの有無でしょう。無料プランがあれば、今まであまり音楽に関心を示さなかった人々を取り込めますし、「好きなアーティストの曲だけをレンタルするから定額サービスは使わない」といったライトユーザーにも効果的にアプローチできます。 日本において、聴き放題の音楽ストリーミング配信サービスは現時点でまだそこまで一般化してはいません。しかし、Spotifyの上陸によって裾野が広がり、その需要も一気に加速する可能性が高いといえます。特に今回、モバイルデバイスへの無料対応が行われたことは大きいでしょう。 日本はもちろん、世界的に音楽パッケージソフトのセル市場が縮小する中、Spotifyの存在はレコード会社やアーティストに正当なロイヤルティを供給し、音楽業界を活性化する意味で重要な鍵を握っています。この先、日本市場でどこまで規模を拡大できるかに注目したいところです。