動物園のパンダと「フライパン」飼育員さん考案の「驚きの用途」をご存知ですか?
ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。 【写真】パンダのタンタンと過ごした、すばらしい日々 2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。当時、国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。
お嬢様とフライパン
お嬢様のフライパンが登場したのは、連載67回目(https://gendai.media/articles/-/92951)。薬を混ぜたサトウキビジュースを与えるのに、もっと良いものがないかと言うことで、探し出したこのフライパン。重すぎず、丈夫な上に、タンタンが噛んでも大丈夫な素材という優れものです。 「底面にもゆるくカーブが付いているので、タンタンも飲みやすいのではないでしょうか」と話すのは、飼育員の梅元良次さん。持ち手が長く、人の安全も確保できて良い事づくしなのです。 こういうアイデアは、どこから出てくるのか伺うと「作業中の雑談から出ることが多いですね」と、梅元さん。もうひとりの飼育員・吉田憲一さんと話しながら、いろいろ工夫しているのだそうです。 最初はフライパンを警戒したというタンタン。「ニオイなんかは、少し気にしていましたけど、優先順位としてはジュースの方が上でしたね。パンダは警戒心が薄く、新しいものにも比較的慣れやすいんです」と、話す梅元さん。そこは、飼育員さんたちとの信頼関係ですよね、お嬢様。
夜は暗闇
夜は電気を消して、暗闇の中で過ごしているというタンタン。「パンダは、日の長さで季節を感じる光周性の動物です。そのため、日照時間を自然の状態に近づければ、体のバランスも良くなるのではないかと考えました」と、梅元さん。 2008年に出産し、赤ちゃんを亡くした後には、タンタンの発情時期がズレる現象が見られました。その改善のためもあり、夜を暗くして過ごす方法を取り入れたのです。 最初はカメラの性能の問題もあり、夜も完全に真っ暗な状態ではありませんでした。ただ、明るさを調整したおかげかどうかは不明ですが、タンタンの発情時期も、少しずつ落ち着いていったのだそうです。 「最近はカメラの性能が上がったので、できるだけ暗く保つようにしています。画像には写っていますが、ほぼ真っ暗ですよ」と、梅元さん。毎日17時までには、屋内展示場と寝室の電気を消して、自然光で過ごすため、暗闇にも慣れたもの。ファンにはおなじみの「#深夜パンダ館」のツイートでも、とてもくつろいでいるように見えますね。