ビル・ゲイツ氏が注目、社会経済に大きなインパクトを与える「AIエージェント」とは?
「コンピューティングに最大の革命」という言葉が11月初旬、ビル・ゲイツ氏のブログ「ゲイツ・ノーツ」に投稿された。その「革命」とは、「パーソナルAIエージェント」のことを指している。自然言語に反応し、ユーザーに関する知識に基づき、さまざまなタスクを遂行できるソフトウェアが「エージェント」だ。 ゲイツ氏は今後、私たちのオンライン体験、さらには生活や社会までもが根本的に変わるという大胆な予測をしている。近い将来、インターネット利用者であれば誰でも、現在のテクノロジーを超えたAI搭載のパーソナル・アシスタントを持つことさえできるようになるとブログに綴っている。
経験・学習を通して進化するエージェント
エージェントについて、過去30年近く思索を重ねてきたゲイツ氏は、ソフトウェアにはまだ進化の余地があると言う。私たちは作業内容によって、どのアプリを使うかをまずデバイスに指示しなくてはならない。しかし、この状況を一変させるのがエージェントなのだそうだ。タスクごとにソフトウェアを使い分ける必要はなくなり、自分がやりたいことを普通にデバイスに話しかけるだけでよくなる日が来るという。 エージェントは、通常のソフトウェアより知覚的に優れている。環境を観察・認識し、受け取ったデータを解釈の上、意志決定を行い、その決定に基づき行動を起こして、特定の目標を達成することができる。大きな特徴は、人工知能と機械学習アルゴリズムを活用し、反応するだけでなく、進化する点だ。人間が常にコントロールする必要なしに、自ら考え、行動し、学習する。新しい状況に遭遇しても、過去の経験から学び、意思決定を行うことができる。 私たちの間でお馴染みになったボットはエージェントとは違うと、ゲイツ氏は言う。 ボットは1つのアプリに限定され、人が特定の単語を書いたり、助けを求めたりした時のみに介入。利用者がボットをどのように利用したかをボット自体が記憶しているわけではないので、使うにつれ働きがよくなることもなければ、利用者の好みを学習することもなく、現状のままのタスクを提供するに限られていると、同氏は説明する。 エージェントはより賢く、利用者の依頼なしに、提案をすることが可能。プロアクティブなのだ。いくつものアプリを横断して、タスクを遂行するだけでなく、利用者の行動を記憶し、その行動の意図・パターンを認識、時間が経つと共に、働きが改善されていくのがエージェントだという。