石破内閣発足 福島県民「地方に目を」 ・食品の価格上昇抑制 ・子育ての環境整えて ・公共交通しっかり確保
石破内閣が発足した1日、福島県民は物価高対策や人口減少対策を進め、「地方に目を向けてほしい」と注文した。食料品の価格上昇を抑えて、教育費を補助して、高齢者の足をしっかり確保して―。庶民の暮らしを支える施策の充実を求めた。 福島市の農業安斎辰雄さん(71)は市内のケーズデンキ福島南本店のテレビ売り場で内閣発足を伝えるニュースを見た。食料品の価格が上がり、年金で暮らす高齢者の生活は苦しい。「しっかりと国民に向き合った政治をしてもらいたい」と語る。市内飯坂町のスーパー「アルタ」を訪れた同市飯坂町の主婦三浦純子さん(53)も日々の買い物で物価高を実感する。「今まで通りの食卓に戻れるように物価高に手を打ってほしい」と願う。 福島県を含む地方では人口減少が加速する。喜多方市の会社員小野大輔さん(28)は「結婚や出産を控える若い世代にとっては金銭的に大変だ。教育費補助などの支援を拡充し、子育てなどの困難さを解消してほしい」と訴える。
会津地方では人口減少と運転手不足が重なり、公共交通機関の再編が進む。市内の会社員小野友晃さん(30)は「公共交通機関は高齢者の重要な足だ。路線の再編は人口減少の悪循環を引き起こしかねない。地方でこそ、(一般ドライバーが有料で客を運ぶ)ライドシェアの普及を進めていくべきだ」と求める。 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興をさらに前に進めてほしいとの声も上がる。双葉町新山地区に住んでいた会社役員勝山広幸さん(55)は「除染土の県外最終処分に向けた施策を早急に進めて」と注文する。中間貯蔵施設の用地に自宅が含まれていたため、埼玉県加須市に家を建てた。除染土の受け入れ先や再生利用は見通せないままだ。「(閣僚は)何度も被災地に足を運び、住民に寄り添って議論を加速して」と訴えた。 ■顔触れに期待と不安 石破内閣の顔触れを見た県民からは期待と不安の声が上がった。 閣僚は13人が初入閣。南相馬市の会社員貝塚大暉さん(31)は「刷新感がある」と受け止めた。ただ、福島県との関わりが深い復興、経済産業、環境の3大臣が初入閣で、経験不足のため国政が滞るのではないかと心配する。女性は5人から2人に減り「時代に逆行している」とも述べた。安定した政権運営へ「閣内で緊密に連携して政策を進めてもらいたい」と求める。
岸田文雄前首相の自民党総裁選不出馬につながった派閥裏金事件で、政治資金収支報告書に不記載があった議員は閣僚に起用されなかった。郡山市の無職別府正俊さん(70)は「良い選択」と評価し、「政治とカネの問題だけではなく国民のための政治をしてほしい」と望む。 組閣直後の解散総選挙に厳しい意見もある。いわき市の50代の会社員男性は「(総裁選で)論戦をしてから解散と話していたはずなのに、変節ぶりに驚いた」とし、「これまで話していた政策についても、実現は期待できない」と切り捨てた。