『君は冥土様。』上田麗奈が感じた“家族と居場所”がもたらす温かい絆
■名前通りの優しさと懐の広さを持つ“人好の魅力”
――主人公の人好について魅力に感じる部分は? 上田:名前の通り、“お人好し”なところが素敵だなと感じました。常識があり、善悪や倫理感がしっかりしているからこそ、突然やってきた雪さんに最初「うちでは雇えない」と断ったこともすごく理解できて、親近感が湧くキャラクターだなと思いますし、その常識を超えて「困っているから何とかしてあげなきゃ」とか「悲しそうだから元気づけてあげなきゃ」と行動に移せるところが本当に素晴らしいです。 雪さんもそうですが、人好くんも「相手のために何ができるか」を考えて行動できる。そして、ドジっ子な雪さんのことを受け止めてあげる懐の広さもあって、まさに名前にふさわしい、温かくて優しい人だなと思います。 ――人好役の熊谷俊輝さんとかけ合いをした印象は? 上田:嘘偽りのないお芝居が本当に素敵で、マイク前で話しているその言葉が雪さんに真っすぐ届いていて、「この人の言葉には裏がなく、そのまま温かい言葉として受け取っていいんだ」と思わせてくれる魅力があるんです。 そのリアルさが、雪さんの浮世離れした部分を引き戻して地に足をつけさせてくれるような安心感を生み出しているように感じましたし、彼女を演じる私自身もすごく居心地がいいなと思えたのは、熊谷さんの人好くんだったからこそだなと思いますね。 ――熊谷さんは現在高校2年生で、人好とも年齢が近いんですよね。そうした部分もセリフの温度感にリアルさを与えているように思いました。 上田:そうですね。熊谷さんは毎回感動しながらお芝居をされていて、それがとても印象的です。でも、学校で最近あったお話を聞いたり、現場でお母さんが作ってくれたおにぎりを食べている姿を見ると、「やっぱり高校生なんだな……」と感じさせられることもあって(笑)。そうしたギャップも含めて、本当に魅力的な役者さんだなと思います。
■「ここに居場所がある、家族がいる」という“安心感”
――本作のテーマにちなんで、“家族”とのほっこりエピソードを伺いたいのですが、愛猫のこたろうくん&しいなちゃんとの生活は最近いかがですか? 上田:こたろうはますます甘えん坊になってきました。昔から膝に乗る子だったんですが、最近では私がソファーのような少し高い場所に座っていても、わざわざ登って膝に乗ってくるようになったり、数時間一緒に腕枕でお昼寝をすることもあったり。以前よりも甘えたい気持ちが増してきたみたいで、リラックスしているんだなと感じられて、すごく嬉しいです。 しいなは前よりも食欲が増してきました。好きなごはんが少ない子なんですけど、最近お気に入りを見つけたみたいで、夜になると決まった時間に「ごはんくれー!」って鳴くんです。逆にこたろうは早朝5時ごろに「ごはんくれー!」って暴れるので、朝も夜もお互い大騒ぎしていて、毎日がにぎやかですね(笑)。 ――可愛い……(笑)。猫ちゃんが生活の中心になっているのですね。 上田:そうなんです。朝は起こされてごはんをあげてから二度寝することもあれば、夜も定期的にごはんをあげに立たされることがあって、本当に生活の中心になっているなって感じます。 彼らがいるおかげで、「早く帰ろう」とか「朝ごはんをあげるためにちゃんと起きよう」といったように生活リズムも以前より整ったと思いますし、共存する大変さもありますが、だからこそ「大事にしよう」という気持ちが芽生え、自分の人生にとってプラスに働いているんだなと思いますね。 ――上田さんの人生を豊かにしてくれた存在なんですね。 上田:本当に。彼らと離れているとき、外で自分へのご褒美に甘いものを食べたりしていると「なんだか人間らしい生活ができているな」と、ふと感じることがあって。そんな些細な瞬間も含めて、こたろうとしいなが私の人生を豊かにしてくれているんだなと実感しています。 ――そうした“家族”の温かさや尊さは本作でも描かれていて。 上田:そうですね。「ここに居場所がある、家族がいる」という“安心感”は、この物語のキーワードになるのではないかなと思いますし、安心を得ることで、相手に感謝の気持ちが芽生え、もっと寄り添いたいという気持ちが自然と生まれる。そんな優しさや思いやりが、この作品にはあふれています。視聴者のみなさんにもぜひ、その優しい気持ちを感じていただけたら嬉しいです。 (取材・文・写真:吉野庫之介) テレビアニメ『君は冥土様。』は、10月5日よりテレビ朝日系全国24局ネット「NUMAnimation」枠にて毎週土曜25時30分放送。