歴史の真実を後世へ 中国行きのカンパ募る 731部隊 元少年隊員清水さん【長野県宮田村】
戦時下の旧満州で細菌兵器を研究した旧関東軍防疫給水部(731部隊)の元少年隊員・清水英男さん(93)=長野県宮田村=は、当時配属された中国黒龍江省ハルビン市にある跡地を訪問するためのカンパを募っている。目標金額は同行者2人分も合わせた60万円。12日に住民有志の「飯田市平和祈念館を考える会」が飯田市内で会見を開き、吉沢章副代表(75)は「歴史の真実を次世代に伝えていく必要がある」と協力を呼び掛けた。 1945年4月、14歳だった清水さんは国民学校高等科を卒業してハルビン郊外にあった731部隊の本拠地へ渡った。終戦して帰国するまで約4カ月、人体解剖した標本を見せられたり、「マルタ」と呼ばれた捕虜の牢獄を爆破するための爆弾運びにあたったりしたという。当時の上官から口止めされていたため、長い間家族にも口外することはなかった。10年ほど前にあった戦争展で吉沢副代表と出会ったことが縁で2016年に初めて語り、現在も考える会が主催する学習会などで当時の経験を伝えている。 終戦以来、部隊の跡地へ訪れておらず「機会があれば再び」と思いを募らせていた清水さん。考える会は「現地に立つことで思い出すことを語ってほしい」としてサポートする。 訪問は8月12~16日を予定。現在は「侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館」がある跡地などを巡る。 清水さんは「長い間行かなければと思っていた。特に子どもたちに戦争の恐ろしさを伝えたい」と話している。 募金の第1次締め切りは7月10日。口座はみなみ信州農業協同組合喬木支所 普通口座0037322、名義は「飯田市平和祈念館を考える会」。