VW労使交渉が妥結、3.5万人削減へ 当面の工場閉鎖は見送り
Christina Amann [ハノーバー(ドイツ) 20日 ロイター] - ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は20日、労働組合との交渉で合意し、今後3万5000人以上の人員削減と生産能力の大幅削減を含む独事業の抜本的な改革を発表した。大規模なストライキは土壇場で回避された。 労組幹部は、同社の87年の歴史で最長となる70時間に及ぶ厳しい交渉の末に得られたこの合意を「クリスマスの奇跡」と称した。当面の工場閉鎖や人員削減はなく、会社側は10%の賃金カット要求を撤回したとみられる。 同社によると、今回の合意により中期的には年間150億ユーロの削減が可能となるが、2024年の見通しに大きな影響はない。 また工場の即時閉鎖はないが、ドレスデン工場を巡る選択肢を検討しているほか、オスナブリュック工場の再利用は買い手探しも含め検討中だという。生産の一部はメキシコに移管される予定。 ドレスデン工場の自動車生産は2025年末までに停止される。 VW最大のウォルフスブルク工場は、組み立てラインを4つから2つに削減する。 今後予定される3万5000人の人員削減は従業員の約4分の1に相当し、独工場ネットワークの生産台数を70万台以上削減することと並行して行われる。 独最大の産別労組IGメタルの首席交渉官トルステン・グローガー氏は、強制的削減を伴わない人員削減は過剰生産能力に対処する解決策の一環であり、社会的に責任ある形で行われるだろうと述べた。