フレディ・スペンサー仕様のメットで走りたい! わずか2年で生産終了した“幻”の80年代レーサーレプリカ ホンダ「NS400R」ってどんなバイク?
2スト400ccのハイパワー!レーサーレプリカのパイオニアが出品中
1980年代、最高峰のロードレースである世界GP500は、ホンダ、ヤマハ、スズキの国産バイクメーカーが活躍していたこともあり、日本国内でも一大ブームとなっていました。 【画像】フルカウルのレーサーレプリカ 幻のホンダ「NS400R」を見る(15枚) そのなかでも1983年と1985年にワールドチャンピオンに輝いたフレディー・スペンサー選手は絶大な人気を誇っていました。 フレディ・スペンサーは1983年に、ホンダ初のバイクレース最高峰のGP500において、クラス個人タイトルをもたらしただけでなく、当時世界最年少でタイトルを獲得。 そして、1985年にはGP500とGP250のレースにおいてダブルタイトルを獲得する、前人未踏の偉業を成し遂げます。 そんなフレディ・スペンサーが1983年にタイトル獲得したときに操っていたバイクがホンダ「NS500R」です。 NS500Rはモトクロッサー用2ストロークエンジンをベースに開発したワークスマシンで、エンジンは498.6ccの2ストロークのV型3気筒という、現在では希少なレイアウトのバイクでした。 最高出力は180psという超ハイパワーとピーキーなセッティングに加え、好不調の波が激しいため、観客側も展開の読めないレース運びに釘付けとなっていました。 そんなロードレースの人気が絶好調な1985年に、ホンダが市場に投入したのが「NS400R」です。
NS400Rは、NS500Rの技術をフィードバックしたレプリカ仕様で、フロントに2気筒、リア90度に1気筒のシリンダーを配置したV型3気筒エンジンです。 ただし、NS500Rはフロントに1気筒、リア90度に2気筒のシリンダーを配置していることから、NS400Rは本格的なレーサーレプリカではなく、あくまでレプリカ仕様ということになります。 セッティングも本格レーサーと比較しても多少控えめなパワーですが、最高出力は59psを誇ります。 低速トルクこそは4ストローク車に及びませんが、パワーバンドに入った加速は750ccのバイクに匹敵するぐらいで、1速で全開にすると軽くフロントリフトをするぐらいです。 また、当時ではフルカウルのバイクは珍しく、カラーリングもワークスマシンに近い状態なこともあり、街中では注目の的でした。 しかし、想定よりも販売が不評なこともあり、わずか2年間で市場から姿を消すことになります。 要因としてはヤマハからは「RZV500」、スズキからは「RG500Γ」と、ワークスマシン同様の排気量でリリースしてきたのに対し、ホンダは400ccのみとライバルに差をつけられる形になりました。 しかし、NS400Rは生産台数が少ないことから希少性が高まり、中古車市場では高値で推移しています。