米代表アデバヨが示した南スーダンへの敬意「彼らがやってきていることは真のリスペクトだ」【パリ五輪/バスケ】
元NBA選手2人によって世界の強豪となった南スーダン
7月31日、アメリカ(FIBAランク1位)は南スーダン(同33位)と対戦。103-86で勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。アンソニー・デイビスは「チームが良くなっている。でも、もっといいプレーができるはず」とチームはさらによくなる可能性があると語っている。 そんな中、18得点7リバウンドというスタッツを残したバム・アデバヨはFIBAの取材に対して、南スーダンへの敬意を語った。「考えてみてほしい。あのチームが戦えるようになったのは2017年のことなんだ。そんなに昔のことではない。南スーダンの歴史は信じられないほど感動的だ。彼らがやってきていること、ルオル(・デン、南スーダン連盟会長でチームのアシスタントコーチ)がやってきたことは真のリスペクトだ」。南スーダンは大会直前の練習試合でアメリカに100-101と迫った。今回、ジャイアントキリングは果たせなかったものの、後半は50-48とアフリカ勢で初めてアメリカを上回ったチームとなった。 南スーダンは20年以上に渡る内戦を経て2011年に住民投票でスーダンから分離、独立した世界で一番新しい国。しかし、その独立後も内戦は続き、和平が合意した2018年までに約40万という方が亡くなった悲しい歴史を持っている。FIBAに加盟したのは2013年のこと。2020年11月、かつてNBAのブルズなどで活躍したデンが連盟会長に就任。さらに翌2021年9月にはロイヤル・アイビー(元サンダーほか、現ロケッツアシスタントコーチ)がヘッドコーチになった。これが契機となる。2021年、アフロバスケット(アメリカ選手権)に初出場して7位という好結果を収めると、FIBAワールドカップ2023ではアフリカ勢最高の17位となり、オリンピック出場権(初)を獲得。FIBA加盟から約10年でオリンピックに到達し、大会初戦(プエルトリコに90-79)で初勝利を果たした。 リトアニアのニュースサイト『BASKETNEWS』に対して、アイビーHCは「南スーダンの人々を団結させ、愛をもたらすために頑張っているんだ。仲間たちは喜んでプレーし、夢中になっている。この3、4年間、戦争で荒廃した国を一つにするために選手たちがやってきたことに拍手を送りたいよ。それまでは悪い物語だった。その物語を、私たちはスポーツを通じて変えようとしている」と単なる勝ち負けではなく、さらに大きな目標を抱いて戦っていると語っている。 元NBA選手2人によって世界の強豪へと成長した南スーダンは現在1勝1敗。最終戦(8月3日のセルビア戦)の結果や他グループの結果次第では、初出場、初勝利に加えて初の決勝トーナメント進出も達成するかもしれない。