J1残留争いの行方は? 降格圏にいるのは磐田、札幌、鳥栖だが...“渦中”にあるのは15位・湘南以下6チーム
磐田残留の生命線はアウェー2試合
京都は前半戦の低迷から一転して、後半戦は首位の広島ともほぼ変わらないペースで浮上してきた。その原動力は夏に加入したラファエル・エリアス。10試合で10得点という爆発的な得点力を見せているが、センターバックで171センチというサイズを感じさせない奮闘を見せる宮本優太など、曺貴裁監督が求めるハードワークを90分通してやり切れているなかで、ラスト15分の勝負強さも見せているのは強みだ。ただ、代表ウィーク前の神戸戦は2点のビハインドを追い付きながら終盤に勝ち越されて、2-3で競り負けるという、手痛い敗戦だった。 10月19日の試合はホームに最下位の鳥栖を迎えるが、今節の結果によっては降格が確定する鳥栖を相手に、勝ち切って残留に大きく前進できるか。その後はアウェーの広島戦や町田戦など、かなりタフなカードを残していることもあり、この鳥栖戦は”残留争い”に大きく影響しうる。 京都にとって励みになるのは天皇杯で、タイトルの可能性を残していること。10月27日には神戸との準決勝が待つ。日程が多少ハードになっても、タイトルを目ざせるモチベーションをリーグ戦の残り試合にもうまく乗せていきたいところだろう。 18位の磐田は湘南、柏、京都と勝点6差で、苦しい立場にあるのは間違いない。ただ、6試合を残すなかで追いかける立場の強みというものはある。横内昭展監督も選手も、すでに残留を明確な目標として一丸になっている雰囲気がある。後半になって連勝が1つもないというのが、3チームと勝点が離れてしまった要因ではあるが、ここからの6試合の中で大きな山を作って行ければ、残留ラインに食い込んでいくことは十分に可能だ。 日程的にやや難しいのは残り6試合のうち、今週末10月19日のC大阪戦、次節の神戸戦と関西のアウェーが2つ続くことだ。そこを乗り越えれば3試合続けてホームのヤマハスタジアムで戦える。そして、最終節が鳥栖とのアウェーになる。 磐田の強みは前線に15得点のジャーメイン良など、J1の中でも質の高いアタッカー陣を揃えていることだが、守備を安定させながらいかに、前線にチャンスを供給していくかというバランス面の難しさに直面している。 磐田の場合は前半に失点が多く、そこが試合を難しくしてきた経緯があるだけに、残留に向けては多少、ビルドアップでロングボールを増やすなど、ローリスクに舵を切っている向きはある。それでも高い位置で起点ができた時は、全体を押し上げて攻撃の厚みを付けていかないと、FW陣もなかなか良い状態でフィニッシュに持ち込むことはできない。 中断前の広島戦では3-4-2-1という新システムにシフトして、1-2で敗れたものの首位のチームを苦しめた。まずは関西のアウェー2試合をどう戦って、勝点を掴み取るか。ホーム3連戦に繋げる意味でも、そこが残留の生命線になりそうだ。 19位の札幌は前節のガンバ大阪戦で、勝利を目前にしながら後半アディショナルタイムの宇佐美貴史の2発に泣いた。その結果次第で、奇跡的な逆転残留に向けて視界が開けてくるはずだっただけに、ショックは少なからずあるだろう。しかし、残り5試合で湘南、柏とのゲームもあるだけに、まずは次戦、アウェーで名古屋グランパスを叩いて希望を繋ぎ、勢いに乗ることができるか。 もう後がない20位の鳥栖のアウェー京都戦での奮起とともに注目していきたい。 取材・文●河治良幸