「テイカー」「ギバー」「マッチャー」人間の思考と行動の3タイプを知ってコミュニケーションを円滑に
組織心理学者のアダム・グラントが執筆し、24カ国語以上で翻訳された大ベストセラー『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』(三笠書房)。この本を監訳した楠木建さんに、ギブ・アンド・テイクにまつわる3タイプの特徴や、他者志向の発想とコミュニケーションのポイントについてお話を伺いました。 【画像】あなたはどのタイプ?「テイカー」「ギバー」「マッチャー」の特徴を知ろう
「テイカー」「ギバー」「マッチャー」とは?
──楠木さんが監訳された『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』では、他者とどのように「ギブ・アンド・テイク」をするかが仕事における成功を大きく左右すると書かれていましたが、その根底にある人間の思考と行動の3タイプを次のように表現していて、大変興味深かったです。 ⚫︎テイカー(受け取る人)→「何をしてもらおうか」と考える。 ⚫︎ギバー(与える人)→「何をしてあげようか」と考える。 ⚫︎マッチャー(バランスを取る人) →「何かしてくれたら、私も何かしてあげる」と考える。 楠木さん 組織心理学者であるアダム・グラントは、人間の思考と行動をシンプルな3タイプに分けていますが、ギバーだからといって、「ひたすら他者に与えるだけ」ではなく、同様にテイカーも「人から受け取ろうとするだけ」ではありません。 どのタイプもギブ・アンド・テイクしながら仕事をしていますが、ギバーとテイカーとマッチャーでは、そこにいたる筋道がまるで異なるのです。 ──道筋の違いについて、ぜひ詳しく伺えますか。 楠木さん 3タイプの本質的な違いを理解するには、それぞれの意図や行動を時間軸から見るとわかりやすくなります。ポイントは、「ギブ」と「テイク」のどちらが先に来るかということです。 ⚫︎テイカーの目的:「テイク」すること 何でも自分中心に考え、自分の利益を得る手段としてのみ相手にギブする。裏を返せば、テイクという目的を達成する手段として有効だと考えれば、テイカーは実に積極的にギブすることもある。 ⚫︎ギバーの目的:「ギブ」すること 思考と行動の順番がテイカーとは逆で、まずギブしようとする。相手のことを考え、見返りなど関係なくまず相手に与える。その際、目的としてのテイクがあるわけではない。その結果、はからずもどこかからお返しをもらえる。 ⚫︎マッチャーの目的:「ギブ」と「テイク」の帳尻を合わせること 与えることと受け取ることのバランスを取ろうとするタイプなので、「これだけのことをしてもらったから、私も同じくらいお返ししよう」と考え、行動する。ギブが先行すればすぐにテイクして補完しようし、テイクを感じると意識的にギブをするので、ギブとテイクの間に時間的なズレがあまりない。