実家に1人で住む父を玄関のすき間から呼びかけても応答なし。緊急事態にベランダから決死の潜入!/父が全裸で倒れてた。#2【作者に聞く】
右耳難聴や子宮内膜症など、自身の体験をわかりやすくコミカルな漫画で描いてきたキクチさん(kkc_ayn)。なかでも、母親の自宅介護と看取りがテーマのコミックエッセイ「20代、親を看取る。」では、自宅介護の現実や、“親との死別”と向き合う中で複雑に揺れ動く感情が描かれており、同じ経験がある人や親の老いを感じ始めている同世代などから大きな反響を集め、2023年に書籍化された。 【漫画】本編を読む コミックエッセイ「父が全裸で倒れてた。」は、母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れてしまう話だ。母の介護・看取りを経たことで落ち着いて対応できることは増えたものの、母の時とは違い、一人っ子として頼れる家族がいない中で様々な決断を迫られることになるキクチさん。いつかは誰もが直面する“親の老いと死”についてお届けする。 今回は、連絡が取れない父の様子を見るために実家を訪れると応答がなく、キクチさんが2階から潜入する様子が描かれる。 ■「救急車を呼ぶほどじゃない」って…何言ってんの!!(怒) 父を見つける前に、家の中に散らばる便のようなものに気付いたたキクチさん。ただならぬ状況であることを感じ取ったのではないだろうか。 「便のようなものを見つけた時点で、『これはやばい』と冷や汗が出ました。父を探したいけど、探したくない。目の前の現実から逃げたい気持ちと、どうか無事であってほしいという気持ちが拮抗していました」 ついに、お風呂場で倒れている父を発見!ひとまず会話はできたものの、一刻を争う状況であることを感じ取った当時の心境は? 「70代の老人が1人で全裸で倒れていて、目は血走っているし、全身が発疹で真っ赤で膨張している。正直、見た目のこわさで少しひるんでしまいました。意識はありましたが、倒れているので頭を打っているかもしれないし、動かしても良くないのかなと、知識がないので混乱しました」 こんな状況でまだ「救急車を呼ぶほどじゃない」という父に対し、「何言ってんの!?」と一喝!キクチさんの頼もしさが伺える一幕になっている。 「父は母が家で動けなくなったときも、救急車を呼ぶことをためらったんです。母から『早く救急車呼んで!』と一喝されて、ようやく呼んだとか。むやみやたらに呼ぶのはもちろん良くないですが、明らかに一刻を争う状況なのに躊躇する父を見て、呆れてしまいました(笑)。本人は、そんなことを言った記憶がないと言っていたので、無意識のうちに言ったんでしょうね。性格ってすごいです」 タイトルの通り全裸で倒れている父を発見することとなった、「父が全裸で倒れてた」。つらい状況も淡々と、時にクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画を、今後も楽しみにしてほしい。