甲斐加入で激化する巨人捕手争い 打撃の大城、今季最多出場の岸田ら
26日に入団記者会見を行った「球界屈指の好捕手」甲斐拓也選手(32)の加入で、今季セ・リーグを制した巨人の正捕手争いは、さらに激化しそうだ。来季の開幕に向け、スタメンマスクの座をかけた争いが始まる。 【写真まとめ】ソフトバンクから巨人へ 甲斐が入団会見 4年ぶりにリーグ優勝した今季は、大城卓三(31)、岸田行倫(28)、小林誠司(35)の3選手を併用した。開幕戦は2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表の大城選手がマスクをかぶったが、持ち味の打撃で調子が上がらず、2軍落ちを経験した。 大城選手に代わって台頭したのが、攻守のバランスが良く、プロ7年目で自己最多の88試合に出場した岸田選手だった。 「(岸田選手は)たくさん打たれた。失敗の積み重ねが多いほど、経験になる」。阿部慎之助監督は捕手出身として、独特の言い回しで岸田選手の成長ぶりを評価する。 加えて、ベテランで強肩の小林選手は、相性が良かった菅野智之投手の「専属」としてマスクをかぶる試合が増え、復活を遂げた最多勝右腕を支えた。 シーズン後半は主に一塁手で出場した大城選手も、戸郷翔征投手の登板では捕手に入った。投手との相性を見極めながら柔軟に起用する「適材適所」の采配は、結果的にチームの優勝へとつながった。 この3人の強力なライバルとなるのが、「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩が武器の甲斐選手だ。11年に育成6位指名でソフトバンクへ入団し、13年に支配下登録。17年から主力として出場するようになり、育成出身で初めてベストナインやゴールデングラブ賞を獲得した。23年のWBCでは豪華投手陣をリードし、世界一に貢献した。阿部監督は甲斐選手の魅力について「包容力」と表現し、「表情だけで投手と会話できる」と評価。阿部監督と同じ背番号「10」をつける。 まずは巨人の投手陣の特徴をいち早く知る必要があり、甲斐選手は「コミュニケーションを大事にして、不安なく投手が腕を振れるようにしたい」と語る。 今季の巨人で捕手として最も出番が多かった岸田選手、鳴り物入りで入団した甲斐選手に加え、大城選手も力強い打撃を取り戻せば、チャンスがある。今季42試合の出場にとどまった小林選手は「相棒」だった菅野投手が米大リーグに移籍し、出場機会を開拓する。 「捕手が競争して切磋琢磨(せっさたくま)すればチーム力が上がる」と阿部監督。リーグ連覇と日本一を目指すチームにとって、高レベルの捕手争いはうれしい悩みの種になりそうだ。【川村咲平】