【コロナ給付金詐欺】主婦や学生が“誤って受給”も…相次いで発覚する持続化給付金「不正受給」の末路(税理士が解説)
「持続化給付金詐欺」で横行した手口とは?
持続化給付金詐欺は、大まかに(1)SNS上で集客⇒(2)申請書類を提出(この時点で虚偽です)⇒(3)受給に伴い、その成功報酬を受け取る(給付金のうちの50%など)、という流れで行われていました。 実際にどのような手口で不正受給されていたかはさまざまですが、大きく2つに分けられます。 (1)事業を営んでいた方が「売上減少の要件」を不正 1つは売上減少の要件を不正していたケースです。申請要件として、前年同月の売上と比較して50%以上の減収をしていないといけないのにもかかわらず、売上があった月を別の月にズラすなどして、単月で見たときの売上を50%以上減ったかのように装います。確定申告では1年分(個人の場合は1月から12月)を会計期間として申告事務を行いますが、売上があった月を別の月にズラしても、1年分の総額で見れば売上は変わりません。 (2)そもそも事業を営んでいない方が“コンサルタント”にそそのかされて不正 2つめは不正のコンサルタントのような人がやっていた手口で、給与所得者や主婦、学生といった「そもそも事業を営んでいない方」を個人事業主だったと偽り、申請されたものです。このケースでは、過去の確定申告書を提出して今年の売上が下がったと装います。 過去の売上(もちろん架空です)は、税金がかからないレベルの額で申告されます。給付金をもらうためとはいえ、架空の売上に対して税金を払うことになれば誰しも抵抗感を覚えますからね。売上が100万円ほどあったとしたら、経費やさまざまな基礎控除を使って、税金がかからない程度に抑えます。そのうえで「売上が前年同月比で50%以上減った」という要件を満たして不正受給し、コンサル料として給付金の50%ほどを受け取る、という悪質なケースがありました。
不正受給が発覚したらどうなる?
不正受給が発覚した場合には、給付金全額を延滞金(要するに金利)・加算金つきで返還することになるほか、悪質なケースであれば刑事的責任を問われる可能性もあります。 ----------------------------------------- <不正受給のペナルティ> ●給付金全額の返還 ●不正受給の翌日から起算して返還日まで年3%の延滞金の支払い ●加算金として、「受給金額+延滞金額」の2割相当額の支払い ●屋号や氏名等の公表 ●内容によっては刑事告発 ----------------------------------------- 例えば持続化給付金100万円を誤って受給し、1年後に不正受給と判断された場合は、延滞金3%として3万円、加算金として20万6,000円が課され、合計123万6,000円を返還することになり、さらにはウェブサイト上で屋号や氏名を公表されます。 不正受給にはペナルティが課されますが、要件を満たしていないにもかかわらず誤って申請し、受給してしまった場合については、自主的な返還を受け付けています【図表】。国が調査を始める前に自主的な返還を行えば、原則として加算金・延滞金は課されません。誤って受給してしまったことを認識している方は、不正受給と見なされる前に自主返還しましょう。 ただし、返還に当たっても要注意です。給付金の返還手続きを装った詐欺、つまりは自主返還しようとしている人を狙った詐欺も存在します。ここにも落とし穴があるので、くれぐれも気を付けてくださいね。