東邦亜鉛、創業地・群馬の製錬設備停止へ 25年3月末、事業再編
東邦亜鉛(本社・東京都)は18日、事業再生計画を発表し、2025年3月末までに亜鉛製錬事業の主力工場である安中製錬所(群馬県安中市)の主要設備を停止することを明らかにした。同社の亜鉛製錬事業に従事する従業員については、今後、希望退職者の募集や配置転換を行うとしている。【庄司哲也】 安中製錬所は、1937(昭和12)年に設立され、同社の創業地でもある。JR安中駅の裏手にある小高い山の斜面をはうように広がる製錬所は、夜景で有名なスポットになっている。現在約230人の従業員が在籍する。 計画によると、亜鉛製錬事業は市況変動が大きく価格転嫁が困難な事業環境であるのに加え、近年の電力料金やエネルギー価格の高止まり、亜鉛鉱石の市況悪化で高コストの事業となっていた。また、これをカバーするため進出していたオーストラリアの3カ所の鉱山事業は操業不調で、大きな損失が出ていた。 亜鉛製錬事業は、安中市のほか、小名浜製錬所(福島県いわき市)でも行っており、いずれも製錬設備を停止する。金属リサイクル事業に再編し、25年2~3月に希望退職者を最大160人募るとしている。 計画公表に伴い同社が18日に発表した25年3月期の連結業績予想では、最終(当期)損失を54億円の赤字とした。売上高は前期比11%減の1162億円、経常利益は17億円を見込んでいる。 伊藤正人社長は株主に向けて「想定を大きく超えて厳しさを増していく事業環境に対処するため、収益構造の早期改善も含めた抜本的な事業再生計画の策定を続けてきた。持続的に成長できる企業へと変革することを目指し、100%力を出していく」と表明した。