甲冑研究40年 伊予松山藩重臣の末裔、橿原考古学研究所付属博物館課長が万感の特別展
発掘を担当したのは橿考研の坂靖(ばんやすし)さんで昨年に61歳で急逝。特別展では、この鉄片1点だけをあえて一つのガラスケースに収めて陳列した。「長年にわたって研究をともにした先輩。研究に打ち込んだ遺跡にもう一度光を当てたかった」と追悼の思いを込めた。
■鉄工所職人と復元
末永さんが調査した甲冑や復元品も公開。昭和2年に見つかった円照寺墓山1号墳(奈良市)の甲冑は、末永さんが鉄を使って復元したものだ。それ以前は厚紙だったが「質感が出ない」と、大阪狭山市の自宅近くの鉄工所の若い職人と完成させた。出土品の復元は、古代の技術に迫る新しい考古学研究の道を開くことになった。
「末永先生の研究の足跡を含め、橿考研と甲冑の深い結びつきを伝えたかった」と吉村さん。橿考研を築き上げた先人や先輩の思いを胸に、さらなる研究を続ける。(小畑三秋)
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特別展は12月1日まで。