60歳を過ぎたら「たかが便秘」では済まされない、「大きなウンチ」を「しっかり出す」が腸活の基本
性別を問わず、60代の後半から悩む人が増えてくる便秘。その理由は腸内細菌の環境がガラリと変わる「60歳の壁」にあると、文教大学健康栄養学部教授の笠岡誠一氏は指摘します。また、笠岡氏によれば、「腸活」は便秘の解消だけではなく、大腸がんのリスクを減らすなど、多くの健康効果をもたらすそうです。 ※本稿は、笠岡氏の著書『9割の人が間違っている炭水化物の摂り方』から、一部を抜粋・編集してお届けします。 【グラフ】日本における便秘の有訴者率(男女・年齢別) ■腸内細菌の環境がガラリと変わる「60歳の壁」
加齢によって腸の働きは、だんだん衰えていきます。そうすると、悪玉菌が増えやすくなり、便秘になりやすくなります。 グラフを見ると、60代後半から便秘に悩む人が増えていることがわかります。70代前半までは女性のほうが多いのですが、70代後半からは男女共通の悩みになります。 ※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください 60歳以降、便秘が増える理由には、いくつか原因が考えられます。
○腸の働きの低下 加齢によって、大腸のぜん動運動が低下することが考えられます。大腸内に便がとどまる時間が長くなり、その間に便の水分が吸収されて硬くなり、便秘を引き起こしてしまうのです。 ○便を押し出す力の低下 筋力の低下によって、便を押し出す力が低下することにより、便が大腸内にとどまりやすくなってしまいます。 ○食べる量が少ない・食物繊維の摂取量が少ない 年を重ねると食が細くなっていきます。便のもとは食べたものですから、食べる量が少なければ、便の量も減ってしまいます。食事量の減少とともに、便を形づくる食物繊維の摂取量も少なくなるため、便秘になりやすくなってしまいます。
■「大きなウンチ」を「しっかり出す」が腸活の基本 便秘を予防するために、若いときよりも意識して腸活に努めましょう。ご飯などの炭水化物をしっかり摂り、ヨーグルトや、ごぼう・大根などの野菜を意識して摂るようにしましょう。 また、日中の活動量が少なければ、エネルギーが使われませんから、お腹もすかず、食べる量も少なくなります。家の中ばかりにいるのではなく、外出して適度な運動を心がけましょう。からだを動かすことは、腸に直接、刺激を与えることにもなり、ぜん動運動を促すことにもなります。