60歳を過ぎたら「たかが便秘」では済まされない、「大きなウンチ」を「しっかり出す」が腸活の基本
また酪酸は、がん抑制遺伝子の一種「p53」を活性化することもわかりました。p53遺伝子が活性化すると、がん化した細胞が増殖するのを防いだり、死滅させたりと、がんの発症リスクを下げることができるのです。 つまり、酪酸を増やすことが、大腸がんの予防につながるというわけです。炭水化物を食べ、善玉菌にしっかりエサを与えて腸の中に短鎖脂肪酸を増やしてあげることが、発がん性物質の発生を抑えるのみならず、遺伝子レベルでもがんの増殖を防ぐための効果を発揮するのです。
■「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などの病気も予防 今、日本では大腸がんをはじめとして、腸の病気に苦しむ人が増えています。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症を起こして、下痢や腹痛を伴う病気です。難病に指定されていて、日本では約17万人の患者がおり、老若男女関係なく発症するとされています。近年、急速に患者数が増えています。 また、同じように腸に炎症が起こり、腹痛や下痢をもたらすクローン病も増加傾向にあります。こちらも難病に指定されている病気で、小腸や大腸での発症頻度が高く、日本には約4万人の患者がいるとされています。
潰瘍性大腸炎もクローン病も、腸管での免疫機能が暴走することで、腸管に炎症が起きると考えられ、炎症性腸疾患(IBD)と総称されています。 ■動物実験で実証された「食物繊維」の効果 これらの病気も、レジスタントスターチ(食物繊維)を摂取することで症状が緩和する可能性のあることが、ブタを使った実験で示されています。ブタは人間と腸の長さがほぼ同じため、研究に使われることが多い動物です。 その実験では、ブタにレジスタントスターチの少ないコーンスターチ(トウモロコシのでんぷん)と、レジスタントスターチが多い非加熱のジャガイモをそれぞれ14週間食べさせたところ、非加熱のジャガイモを与えたブタのほうが、明らかに炎症性腸疾患の症状が緩和したのです。