7回逆転三塁打を放った小島伸義（郁文館）

＜第106回全国高校野球選手権東東京大会◇郁文館 7－6 正則学園◇9日◇神宮球場＞ 【トーナメント表】夏の東東京大会　ここまでの結果一覧 今年の1月から郁文館の監督に、常総学院の監督だった佐々木 力が就任した。2020年まで6度の甲子園を経験した実績十分の監督だ。 チームはユニホームをこの大会から一新。以前は西武ライオンズのホーム用のユニホームに似ていたが、今大会からは胸に漢字で「郁文館」と書かれている。胸の文字は、「ワタミ」の経営者として知られる渡邉 美樹理事長の書だという。 佐々木 力監督の東東京大会最初の試合の先発マウンドには、背番号5の小島 伸義（3年生）が上がった。背番号からも分かるように三塁手との二刀流だが、仙台市出身である小島の憧れの存在は楽天の田中 将大投手であり、投手としての意識が強い。 立ち上がりは140キロ台のストレートに、スライダー、カーブなどの変化球を駆使して無失点に抑える。打線も1点ずつ小刻みに加点して、3点をリードする。 けれども小島は、「5回くらいから疲労がきて、打たれやすくなることがよくあります」と語るように5回表につかまる。2本の安打と四球で満塁となり、正則学園の3番・野邊 秀彪外野手（3年）、4番・高橋 優斗一塁手（3年）という中軸の連打を浴びて3点を失い、同点になる。しかも郁文館の攻撃の核の1人である若林 力丸二塁手（3年）が、5回表の守りで足を吊り、5回裏の攻撃で回ってきた打順では、代打を送られた。郁文館としてはピンチである。 小島は6回表からは三塁手に回り、マウンドには2年生の横手投げ濱田 悠斗が上がったが、7回表に2点を失い降板。3年生のエース・周 宥宏が上がったが、正則学園はさらに1点を追加して、3点差とした。 7回裏郁文館は、一死二、三塁から主将で4番の西中 晴樹捕手（3年）の中前安打で2人が還り、1点差。6番・津本 一希遊撃手（2年）の右前安打に捕逸で二死二、三塁となり、先発投手であり、6回からは三塁手になっている小島を迎える。自分のことを「打って、投げる選手」と思っている小島は、自分の失点を取り戻そうと打席に入った。前の2打席、思い切り引っ張って三ゴロに終わっていた小島だったが、この打席ではカットボールを逆らわず打ち返すと、右中間を破る逆転の三塁打になった。 「小島は、あれくらいのバッティングはやります。最初からやってくれていたら」と佐々木監督は苦笑いしたが、小島の三塁打が貴重な決勝打になり、郁文館が接戦をものにした。 「やっと勝てました」と佐々木監督。常総学院であれば、シードされ、相手を研究して試合に臨めるが、「何もない状態から始めないといけません」と佐々木監督は、難しさを吐露した。それでも指導して半年、「ある程度のレベルにはなっている」と、手ごたえも感じている。3回戦は14日に昭和鉄道と東亜学園の勝者と対戦する。東亜学園は昨年の準優勝校。厳しい戦いが続く。