「給食ストロー」が微生物のエサに? 海や土の中で分解されるストロー導入 さらに校内で堆肥化し学校菜園で循環
年間約4300万本。これは広島県内の小中学校で給食に使われるプラスチック製ストローの数だ。毎日のストローを環境にやさしい素材に換え、現地で堆肥化して循環させる“西日本初”の取り組みが始まった。 【画像】分解されて二酸化炭素と水になる環境にやさしいストロー
見た目は普通のストローなのに…
廿日市市にある吉和小中学校。昼の時間になると、児童・生徒たちはいつも通り給食の準備を進める。 「ストローが変わったことにみんな気づいた?」 食事中の生徒に問いかけるカネカの宅佑奈さん。カネカは環境に配慮した製品などを製造・販売する総合化学メーカーである。 「気づいたー」 「透明で長くなった」 「ちょっと硬い」 「ストローを伸ばさなくてよくなった」 「飲みやすい」 これまで使っていたストローとの違いを言い合う生徒たち。見た目は一般的なストローと同じようだが、実はある特殊な素材で作られている。 宅さんは「今回、みんなに使ってもらうストローは土の中や海の中にいる小さな生き物がエサとして食べてくれるので環境に残らない素材です」と説明した。 その素材とは「生分解性プラスチック」。土壌中や海洋中の微生物によって最終的には二酸化炭素と水に分解される。これまでのプラスチックは分解されず“ごみ”として残ってしまうが、生分解性プラスチックであれば分解されて残らないため、海洋プラスチックごみの問題解決につながるという。
海洋プラスチックごみゼロを目指す
広島県内の小中学校で給食に使われるプラスチック製ストローは、年間約4300万本。 県と廿日市市は海洋プラスチックごみを削減するため、9月から廿日市市にある27の小中学校で生分解性ストローを試験的に導入する実証事業を始めた。 県では2050年までに海洋プラスチックごみゼロを目指しているが、2023年度、県内の海岸で回収した12.8トンのごみのうちプラスチックごみが10.7トンを占めていて深刻な状況となっている。 県環境保全課・秋山日登美課長は「海に流れ出るごみを一切ゼロにするの難しい。完全に回収できればいいですが、どうしても流出してしまうという危険性をはらんでいます。生分解性のものであれば、流出してしまっても溶けて環境にやさしい。かなり効果的な取り組みになろうかと期待しています」と話す。