千葉ロッテ 黄金イヤーの法則は実現するか?
では、今季の千葉ロッテに黄金の法則を守るべき可能性はあるのか。 阪神、ダイエー、ヤクルトでエース、ストッパーとしてプレー、現在は、ソフトバンクを中心に評論家活動を行っている池田親興氏は最下位予想だ。 「厳しい見方をするようだが、Aクラスを狙うための補強がされていない。成瀬の抜けた穴は埋まっていない。新外国人のイ・デウンも、ひとつはまればいいピッチャーだが、立ち上がりやコントロールに不安がある。年間を通じで調子を維持できるかどうか。私は涌井ではなく、おそらく石川が貯金を作れる中心投手になると見ているが、2年目の石川にその役割を課すのは厳しいだろう。そして、デスパイネが合流してくるまでに4番をどうするのかという問題もある。荻野や足を使える選手がいて機動力が使えるのが武器だろうが、打線の軸となる選手が見えてこない。サブローや今江らベテランが脇役になってくるようなチーム状況になってくれば怖いが。また里崎が引退した後のキャッチャーも固定できないでいる。田村と吉田の併用になるのだろうが、そこを決めきれない部分が、ロッテの現状を象徴しているのではないだろうか」 FAでヤクルトに移籍した成瀬は、昨季23試合に投げて9勝11敗。負けが先行したがローテーションの軸を守る重要な左腕だった。今季、韓国野球を経ずにメジャー挑戦したイ・デウンと、横浜DeNAをクビになったチェンを獲得してオープン戦では、一応、先発で使うメドは立ったが、蓋を開けてみなければ本当の計算は立たない。 開幕投手の涌井秀章に続き、石川歩、イ・デウン、藤岡貴裕、チェン、6番手の先発候補に唐川侑己が入ってくるかどうかという状況で、外国人枠の問題もあってセットアッパーのロサの起用方法も難しく、侍ジャパンのストッパーでもある西野勇士につなぐまでの2イニングが左投手も含め人材難だ。 ただ、打線の方はオープン戦では、荻野貴司の1番が機能していて、角中勝也、清田育宏が好調でつながっている。伊東監督は、二塁、三塁と守れる早大出のドラフト1位のルーキー、中村奨吾の開幕1軍抜擢を決めていて、一歩目が鋭い守備力と、意外に粘り強いバッティングが地味ながらもチームのプラス戦力となっている。19日の段階で、8勝4敗1分で3位につけていて、チーム打率.285と、チーム得点の62は、12球団中のトップ。チーム防御率の2.74も5位の数字だ。 「チームとして勝ちにいっていないオープン戦の成績はシーズンの成績とほぼ関係ない」が定説ではあるが、データ的には、開幕ダッシュから最終的に僅差で3位を手にして下刻上に成功した2010年のオープン戦時よりも上にある。ちなみに2010年のオープン戦成績は、5勝7敗1分で10位。チーム打率.263、チーム得点53は、いずれも5位で、防御率3.41は、全体で7位の数字だった。 戦力のないチームのやりくりが、非常に上手い戦略家の伊東監督は、優勝候補ソフトバンクとの「開幕カード2勝」を宣言している。戦力分析においては、最下位予想をされても仕方のない千葉ロッテが、黄金イヤーの法則を実現するためには、オープン戦の勢いをキープしたまま、開幕ダッシュに成功して、デスパイネが合流するまで持ちこたえておくことだろう。 決断力があって研究熱心でもある元中日の落合投手コーチの投手陣の手綱さばきも楽しみだし、何が起きても不思議ではないのがプロ野球。そして、それを実現するのがプロ野球の醍醐味である。果たして黄金イヤーの法則の行方や如何に。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)