春再び 第91回選抜高校野球/下 チーム一丸で一勝へ 「つなぐ打線」と投手に厚み /愛媛
「三つ勝たないと決勝には行けない」。四国各県の上位3チームが集まる秋の四国大会。愛媛3位での出場のためノーシードからの厳しい戦いだ。県大会で何度も苦境に立たされ、自分たちの実力を痛感した選手たちは「一からやり直そう」と走り込みや素振りなど基礎練習を積み上げることにした。 新チームは突出した選手がいないと評される。2016年夏のアドゥワ誠投手(現広島)、昨春の土居豪人投手(現ロッテ)ら絶対的エースがいた過去2回の甲子園とは異なり、「ひたむきさ」がチームの身上、「全員野球」が力の源泉だ。 迎えた四国大会。1回戦の志度(香川2位)戦から全員野球の本領を発揮し、二回に集中打で一挙6点を挙げてコールド勝ち。続く準々決勝の川島(徳島1位)戦では二回に4連打で4点を先制、準決勝の富岡西戦(徳島3位)でも一回の立ち上がりを攻めて3点を先制するなど、序盤の集中打で試合を優位に進めた。「つなぐ打線こそ松山聖陵の強み」。創部以来初の四国大会決勝に駒を進め、長尾侑馬マネジャー(1年)はチーム力の底上げに自信を深める。 投手陣もエースで主将の根本大蓮投手(2年)が準決勝敗退まで全試合に先発した県大会から、四国大会は4投手をつぎ込む総力戦に進化。県大会の第3代表決定戦で疲労の蓄積した根本投手に代わり、初先発して崖っぷちの試合で代表権獲得に導いた1年生、平安山陽投手は2先発1完投と第2の柱に成長した。 課題は守備だ。秋の県大会では地区予選から5試合で9失策。ノックなどの基礎練習を徹底し、四国大会では4試合3失策と1試合の失策数は半減させたものの、決勝の高松商(香川1位)戦では四回2死三塁、失策で追加点を許し試合の流れを奪われた。攻撃でも追い上げの好機を何度も作るが、この試合無失策だった高松商の堅守に阻まれ、守備力の重要性を見せつけられた。 課題はまだ多いがたくさんの収穫も得た。四国大会では10盗塁と機動力も生かし、攻撃の幅が広がってきた。昨春にグラウンドのそばに完成したウエート場も使い、体作りに励んだ選手たちは年明けて一回り大きくなった。 センバツ開幕まで、あと1カ月半。「甲子園初勝利を目指して頑張りたい」と根本主将は力を込める。目指すは、先輩たちが成し遂げられなかった悲願の一勝。チーム一丸、夢の舞台へ思いは加速する。【遠藤龍】