レシップHD 米国事業を拡大 バス運行管理システム受注目指す 運賃箱に続く事業へ育成
バス運賃箱の国内トップメーカーであるレシップホールディングス(HD、本社本巣市)は、米国でバスの位置情報などを知らせる運行管理システムの受注を目指す方針だ。現在、現地で協業先の絞り込みを進めている。米国では2016年から運賃箱を提供し、市場深耕を図ってきた。27年3月期をめどに海外売上高比率を現状の2倍となる20%以上へ引き上げる計画だが、運行管理システムの拡販でさらなる上積みを狙う。(西濃) 米国の路線バスは低所得者層の利用が多く、乗客による暴行などのトラブルが日本よりもみられる。運転手の安全を確保するため、無線システムなどバスロケーションシステムは充実しているという。杉本眞社長は「米国のバスはモニターや降車ボタンがなく、日本とは異なる構造だが、バス会社が運行管理するためのバスロケーションシステムには参入余地がある」と意欲を示す。 レシップHDはバス、鉄道向け運賃箱の収受システムをはじめ、バス内のモニターなど電装機器も手掛ける。16年にワシントン州でバス運賃箱を初受注し、米国に進出。現在はテキサス州で1400台、オレゴン州で800台の導入を進めている。
同社の24年3月期連結売上高は226億円、営業利益は31億円と過去最高。国内では7月の新紙幣発行に伴い、運賃箱更新の特需が発生し業績が大幅に伸長した。米国を中心とする海外売上高比率は9・6%(21億円)だった。 ただ、杉本社長は「運賃箱は更新需要に波があり、業績が安定しない。安定成長には、バスロケ事業の確立が不可欠。将来的にも主力事業に育て上げたい」と語る。 今年5月には、バスロケの新プラン「バスロケベーシック」を開発した。運行車両の少ない事業者を想定し、既存サービスを位置情報の提供のみに特化。低コストのプランに仕上げた。7月には本巣市が運行する市営バス全線に、バスロケベーシックを納品した。 米国で提供するサービスもバスロケベーシックと同様、既存サービスを米国事業者向けに特化して開発する。協業先の絞り込みと同時に、米国のニーズ調査も進める。 同社は、中期経営計画「RT2026」で最終年度となる27年3月期に売上高240億円、営業利益12億円、海外売上高比率20%以上を掲げる。27年3月期予想には米国での運行管理システム販売は含んでいないため、いち早く受注にこぎつけられれば、業績のさらなる上振れが期待できそうだ。