「女性として好きだった…」女子生徒への性的暴行で逮捕の元校長が法廷で明かした「信じられない釈明」
暴行の様子をビデオカメラで撮影
「(事件)当時は、アダルトビデオで見ているものが自分の性的知識のすべてでした。そして、よく見ていたインターネットのサイトで、こうすれば女性が気持ちよくなるという書き込みを見て、電気マッサージ機とかで女性は気持ちよくなるんだと思っていました」 生徒への性的暴行で「懲役10年を求刑」元わいせつ校長・アルバムで見せた「笑顔」写真 勤務していた中学校の校内で、女子生徒Aさんに性的暴行を加えてケガをさせたとして準強姦致傷の罪に問われている東京都練馬区立中の元校長・北村比左嘉(きたむら・ひさよし)被告(57)。 11月28日に開かれた第3回裁判員裁判の被告人質問のなかで、弁護人の「Aさんが電気マッサージ機を押し当てられて、嫌がっているとは思わなかったのか」という質問に、北村被告は冒頭のように答えた。 Aさんへの準強姦致傷罪のみならず、別の女子生徒Bさんへのわいせつ行為も撮影し保存したとして、北村被告は児童買春・児童ポルノ禁止法違反にも問われている。 「北村被告は、’23年9月10日にBさんに対する児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されました。警察が校長室を捜索したところ、机の引き出しから動画29点、静止画19点の児童ポルノが納められたビデオカメラを発見。そこにはBさんだけでなく、Aさんに対する性的暴行の動画が残されていたため、9月29日に準強姦致傷の疑いで北村被告を再逮捕したのです」(全国紙社会部記者) Bさんが北村被告の勤務する中学校に入学したのは、Aさんが卒業した年。Aさんと入れ替わるタイミングだった。そしてAさんと同じく、部活の顧問や理科担当、学年主任としてBさんは北村被告と関わるようになった。 ◆「取り返しがつかないひどいこと」 第3回の公判のなかで、検察官がBさんの供述調書を読み上げた。 「私は中学入学直後から、部活動の顧問を務める北村から繰り返し体を触られたり、陰部に電気マッサージ機を押し当てられたり、陰茎を押し付けられたりする、わいせつ行為を受けていました。北村は、第一理科準備室で私にわいせつ行為をする際、私の裸やマッサージと称して私にわいせつ行為をしている場面を黒いビデオカメラで撮影することがありました。その行為は、中学3年の冬ごろまで続きました。 私は卒業式の直前に第一理科準備室で北村に会った際に、『私の写真とか動画とかを撮っていたら、全部、消してください』などと言って、北村が撮影した私の画像を消去するよう依頼しました。これに対して、北村は『わかった』とデータを消去することを了承しました。ですから私は、北村が約束通り撮影した画像を消去してくれたのだろうと思っていました」 しかし、北村被告はBさんとの約束を守ることはなく、画像を手元に置いていたのだった。 続いて、北村被告の妻であるCさんが情状証人として出廷した。 Cさんは、北村被告がはじめて赴任した中学校の教え子で、’21年にお互い再婚という形で結婚した。二人の間には2歳になる子供がいる。Cさんは’23年9月10日に、警察が自宅に捜査に来たことで事件のことを知ったという。 Cさんは「夫は人として取り返しのつかないひどいことをした」と述べ、裁判員の「今後、どうするのか」という質問には、こう答えたのだった。 「償いたいけれども、被害者の方にはなかなか受け入れてもらえないだろうし、償いようのないことをしてしまいました。今後、きちんと償っていくためにも、夫を支えていくことが必要だと思いました。夫自身がきちんと向き合って解決していくためにも、私は夫のそばで生きようと思います。二人で支え合いながら、償いをしていきたいと思います」 ◆「償いたい」という意志こそあるが… その後、北村被告が証言台に立ち、被告人質問がはじまった。 弁護人の「Aさんとの関係をどう認識しているのか」という質問にこう答えた。 「当時の私の考え方は、激務のストレスもあり、普段から接している中学生のように幼くなっていたということです。それで、Aさんが中学生であるということすら考えられなくなって、ひとりの女性として好きになり、Aさんにも好かれて、お付き合いをしているような錯覚に陥っていました。 私は女性経験が少なく、非常に強いコンプレックスがありました。お付き合いしていくなかで、どうすれば相手を惹きつけ、喜んでもらうということができるだろうと常に考えていたのです。そのための知識をアダルトビデオやインターネットから得ようとしていました」 「Aさんに気持ちよくなってもらおう」といろいろな器具を購入したという。しかし、警察で自分が撮影した動画を見たときの衝撃を、ときおり声を詰まらせながらこう話した。 「私が電気マッサージ機を押し当て、Aさんが身をよじらせている動画を見て、びっくりして吐いてしまいました。私は、Aさんは気持ちがよくてそうしていると思っていたんです。(性障害の)カウンセリングの先生には“記憶が書き換わったのではなく、覚えてなかったんだ”と言われました。 どれだけ痛くて苦しかったのだろうと思うと、もう償いなんてできないと、死ぬことも考えました。しかし、警察や検察の方に、反省して本当のことを話すことが償いの第一歩だと言われ、ここに立っています」 妻のCさんが証言台に向かう途中、北村被告の腕にそっと触れると、北村被告は顔をゆがめながら声を押し殺し、号泣しはじめた。いまになって、自分の犯した罪の重さに気づいたのだろうか。 12月3日に行われた論告弁論では、検察官は懲役10年を求刑、Aさんの代理人弁護士は「検察官の求刑以上の、可能な限り重い刑が科されるべきだと考えます」と述べ、北村被告の弁護人は「準強姦致傷事件は無罪」だとして執行猶予付きの判決を主張した。 北村被告に執行猶予が認められるかどうかが、12月9日の判決の争点となる。 関連記事『「身体のメンテナンスをしてあげる」教え子に性的暴行で逮捕の元校長「卑劣すぎる密室での手口」』では、Aさんが北村被告から受けた悪質な性被害について打ち明けている。 取材・文:中平良
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